かじき類への通常標識の装着について

水産総合研究センター 遠洋水産研究所
 まぐろ研究室 余川浩太郎
 まぐろ研究室 斎藤宏和

 現在、JGFA会員の方々によりかじき類に装着されている通常標識(以下、タグ)は、残念なことに未だ再捕の報告が挙げられておりません。大量の装着事例がある米国の結果からも推察されるとおり、再捕率が非常に低いことが推察され、また、タグが脱落しているということも予想されます。
 当研究所では、今までまぐろ類や海産哺乳類に対するタグ装着を行ってきましたが、カジキ類への標識放流については、あまり行われていませんでした。そのため、現在は、タグ装着技術の向上のために、どのようなタグをどのように装着するのが一番確実であるか、予備的検討を行っているところです。
 以下に、現時点で得られている若干の知見を元に、タグ装着に関する情報を記します。

1.魚の骨とタグ脱落の関係
 背鰭の下には、担鰭骨(たんきこつ)と呼ばれている鰭を支える骨があります。また、背骨の上には神経棘(しんけいきょく)が伸びています。これらの骨の構造は、煮魚を食べたときなどに実際に確認できるでしょう。
 今までのタグ装着による調査研究事例から、この担鰭骨・神経棘にタグの返しが掛かった状態になればタグの脱落率は低くなり、ちゃんと引っ掛かっていない(片側の筋肉内にタグの先端部がある)状態ではタグが脱落してしまうことが多くなることがわかっています。
 このことから、担鰭骨・神経棘のあいだを貫通させ、タグの先端部が引っ掛かる程度まで深く差し込むようにすることで、タグの脱落が減少し、最終的には再捕報告が増加する可能性があります。

 これらの点を考慮し、マカジキを例として、魚体の測定およびタグを装着した状態の概略を、次節にて説明します。

2.タグ装着に関して
(1)外観から
 タグ装着位置は、背鰭下の筋肉部分(図1および図2A参照)に装着するのが適切です。なお、背鰭下の体の上部は、背鰭を折りたたんで格納できるように、筋肉が盛り上がっています(図1および図2B)。もしこの部分にタグを装着すると、タグは背鰭周辺(背鰭棘)に刺さり、背鰭の動きを制約してしまい、結果としてタグの脱落率が高くなってしまうことが予想されます。

図1:マカジキの背鰭周辺部
図2:マカジキ(約30kg)魚体上部の断面

(2)体内でのタグ固定
 担鰭骨は骨と骨の間隔が狭いためタグの返しが引っ掛かりやすいので、タグを魚体へ固定するのに適しています。また、この部分からずれても、体中央線寄りであれば、タグ先端部が同様に神経棘に引っ掛かり、同様に固定することができます。
図3:担鰭骨を通過したダート型通常標識の先端部(中央の白色部分)

 これらの内容を取りまとめて模式的に表すと、以下のようになります。

図4:かじき類標識装着位置の魚体断面模式図


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