TECS & TIPS ON BIG GAME


テクニック&
ハウツー特集

文・構成/(株)八点鐘

イラスト/高橋唯美


photo/Yasunori Suga

このサイトがオープンする頃には水温も上り、ビルフィッシュを初めとするビッグゲームフィッシングは本格的なシーズンを迎えていることであろう。ここでは、貴重な1尾との出会いを確実にものにするテクニック&メソッドを6つ紹介しよう。筆者はベテランのドン・マンと、ハワイの実践派ライター、ジム・リズトー。写真やイラストを多用してあるので今年から始めようというアングラーにもきっと参考になるはずだ。

テクニック1
ラインの絡みを防止する/ワックスラインによるラッピング Tangle-Free Connections

テクニック2
ダブルラインとリーダー/それぞれの長さをいかにして決定するか Choosing Length Of Double Line And Leader

テクニック3
外側をナイフエッジに研くシャープニング法 A New Look at a Penetrating Issue

テクニック4
トローリングルアーのスプレッドを決める Setting Out a Trolling Lure Spread

テクニック5
フックアップ率を高めるリギング&メソッド Getting Hooked. Staying Hooked.

テクニック6
ドラッグを設定する Setting the Drag on Lever-Drag Reels


テクニック1−By Jim Rizzuto
 Tangle-Free Connections

ラインの絡みを防止する
ワックスラインによるラッピング

 プロのスキッパーたちは、ノット部やスプライス部を保護するためにワックスライン(デンタルフロス等)でラッピングする。ここではスイベルに絡んだグリンチノットを例に、その方法を紹介してみた。やり方としては、ビミニや三つ編みなど、ダブルラインを作るノットでも同じだ。
 ところで、スイベルのノット部をこのように保護する理由は何だろう。最大の理由は、ラインの絡み防止である。スイベルにラインが絡みついてしまうのは、ライブベイトの場合などにはよくあることだ。もしも絡んだ状態のままビッグフィッシュがストライクすれば、間違いなくラインブレイクする。こういったラインの絡みは、そんなに起こりそうもない一種の事故のように思いがちだが、実際には驚くほど頻繁に起こるものなのだ。ちょっと考えただけでも、ライン絡みが起こりやすい状況は3つほど思い浮かぶ。
 まずひとつは、マーリンに追われたライブベイトがボート方向に向かって急速に泳いだ結果、ラインにスラックができた場合。この時、スイベルは自重によって沈み、たるんだラインを拾ってしまう。これと同じことは、ベイトにストライクした魚がボートに向かって泳ぎ続け、スイベルを追い越した場合にも起こる。また、ライブベイティングで非常に長いドロップバックを設けている時にも、ストライクでリリースが外れた後、長いラインスラックが絡みの原因になることもある。
 こうしたライン絡みによってビッグフィッシュを失いたくなかったら、あらかじめ解決法を見つけておくことが大切だ。ここに紹介したワックスラインによるラッピングという解決法を実践すれば、少なくともライン絡みによるバラシはなくなるはずだ。

ワックスフロスを用いたノットのラッピング法


これが問題のライン絡み。ダブルラインがスナップスイベルを巻いてしまっている。ラインに水の抵抗が掛かったままでは、絡みが自然に直ることはない。もしもビッグフィッシュの強力な引きが加われば、間違いなくラインブレイクである。

通常通りラインをスイベルに結ぶ。ノットの種類としては、クリンチノットのようにノット部分が長いほうがラッピングしやすい。写真1ではパロマーノットで結んでいるが、こういった短いノットはラッピングしにくい。まず、ワックス付きのデンタルフロスを3フィートの長さに切り、半分に折ってスイベルに通す。

それぞれのフロスをループに通す。
フロスを引き、締める。スイベルではなく、ビミニツイストなどをラッピングする場合は、ダブルラインを巻くようにこのヒッチを行なう。

クリンチノットが隠れるまで(ダブルラインまで)ハーフヒッチを繰り返す。

さらにそのままハーフヒッチを繰り返し、スナップスイベルとほぼ同じ長さまでダブルラインをラッピングする。

滑らかでタイトなフィニッシュを形成するために、まず大きなハーフヒッチを作る。

そのままダブルラインを7〜8回巻く。 ステップ8で巻いたツイストをハーフヒッチの隣まで引き絞りながら移動させる。

フロスの端を引いて締め、余りを切る。いわゆるウィップフィニッシュである。(ウィップフィニッシュはビミニツイストなどのフィニッシュにも用いられる) フロスでラッピングしてあれば、このようにラインが絡んでも解けやすく、またラインも保護される。

テクニック2−By Don Mann
 Choosing Length of Double Line and Leader

ダブルラインとリーダー
それぞれの長さをいかにして決定するか


 IGFAルールはダブルライン及びリーダーの長さを規定している(イラスト参照)。長さはラインクラスに応じて異なるが、10kg(20Lb)テストをオーバーするライン(実質的には30Lbテスト以上)では、ダブルラインとリーダーはそれぞれ9.14m(30ft)以内でなければならない。ただし、ここが厄介なところなのだが、ダブルラインとリーダーの合計長は、それぞれの規定の長さ9.14m(30ft)を2倍した18.28m(60ft)ではなく、12.19m(40ft)以内と規定されているのだ。これはどういうことか。すなわち、仮にリーダーを規定の長さいっぱいの9.14m(30ft)とったとすると、
 12.19m(40ft)−9.14m(30ft)=約3.04m(10ft)となり、
ダブルラインの長さはマキシマムで3.04m(10ft)までしかとれなくなる。また反対にダブルラインを9.14m(30ft)とったとすると、今度はリーダーを3.04m(10ft)までしかとれなくなるというわけである。

 となると、リーダーとダブルラインのどちらを長くとるべきなのかという疑問が当然持ち上がるが、私はリーダーの長さをギリギリまで長くとるようにしている。というのも、フックアップしたマーリンがファイト中に暴れ、リーダーが魚体にグルグルと巻きついたことが度々あったからだ。もしリーダーが短かったら、きっとダブルラインまで巻いてしまい、最終的にはダブルラインがブレイクしていたにちがいない。

 さらに厄介なのは、もしリーダーが完全に巻かれた状態であれば、ランディングが極めて困難になるという点である。ラップ(注1)するべきリーダーがないからといって、ダブルラインをラップすれば、IGFAルールに抵触することになる(注2)。すなわち、リーダー部が残らず魚体に巻きついてしまったら、ラップしようがないのである。
 そんな最悪の事態を迎えないために、私はリーダーの長さにある基準を設けている。つまり、その釣り場で遭遇する可能性がある最大魚の全長、その長さ分よりも長めにリーダーを確保するのである。こうしておけば、仮に魚がリーダーを巻いてしまったとしても、ダブルラインを傷つける心配はないし、同時に巻かれずに済んだ部分のリーダーをラップして寄せることもできる。具体的な長さとしては、5.48m(18ft)以上というのがひとつの基準になるだろう。つまり12.19m(40ft)の約半分である。ダブルラインはその残りの長さだけとればよい。

 がしかし、あまりにも長いリーダーは一方で別の問題を生ずる。魚を寄せる立場にあるリーダーマンにとって、思うように魚を操れないロングリーダーはシリアスな問題である。たとえリーダーをうまくラッピングしたとしても、大型魚であれば寄せるのは困難だ。とはいっても、リーダーを短くしたばかりにダブルラインが魚のテイルによって傷つけられ、ブレイクしてしまったのでは元も子もないだろう。
 グランダーのあの巨大さを思い出してほしい。それがもしメスなら、全長に対して不格好なほど胴回りは長大になる。全長は少なくとも4.57m(15ft)はあるのだ。そんな魚にとって、4.57m(15ft)のリーダーを魚体に巻きつけ、ダブルラインを切ってしまうことなど実にたやすいことなのだ。

(注1)ラップ wrap
英語で「巻く」の意。ファイトの最終段階で、リーダーマンがリーダーを手に巻く動作を言う。ラップする際は必ずグローブを着用すること。素手でのラッピングは非常に危険だ。また、突然のダッシュに備えて、ただちにリーダーをリリースできるようラップすること。さらにラッピングによってたぐり寄せたリーダーは必ずボートの外側に逃がす。コックピット内にたぐり寄せたリーダーが足に絡まれば、いったいどういうことになるかは言わずもがなである。

(注2)
IGFAルールでは、「釣り人がファイティング中に、釣り人以外の者がロッド、リール、およびライン(ダブルラインを含む)に直接または間接的にでも触れることは禁じられている」。


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