テクニック5−By Jim Rizzuto
 Getting Hooked. Staying Hooked.

フックアップ率を高めるリギング&メソッド

 たとえビルフィッシュが姿を現わし、ルアーを叩いても、必ずしもフックアップするとは限らない。それどころか、ガッチリとフックアップすることなどは本当に珍しいと言えるだろう。たいていの場合、それはただのストライクに終わってしまう。
 毎年ハワイ島で行なわれるH.I.B.Tでは、フックアップに至らないストライクは全ストライク数の60〜80%を占めるという統計が出ている。実に6〜8割のストライクが従労に終わるとは驚くべきではなかろうか。
 そこで、ハワイのビッグゲームトローラーたちはフックアップの確率を少しでも高めようと、ルアーのリギングにかなり斬新な工夫を凝らしている(写真参照)。この工夫はマーリン用のルアーだけでなく、スカーテッドタイプ(スカート付きのルアー)ならどんなルアーにも有効で、実際、ハワイではイエローフィンツナやマヒマヒをはじめ、ワフー、スピアフィッシュ、ジャックなど、多くのゲームフィッシュに効果を上げている。
 このリギングを試してみて、フックアップ率を高めることができれば、後はラインブレイクだけを心配すればよい。
 ここに紹介したリグは、コナの「ビルコレクター」のスキッパー、ロブ・パーディーが1990年のHIBTで608.5Lbのビッゲストマーリンをキャッチした際に使用していたのと同じものだ。ルアーも写真と同じ「ジョー・イー・スーパープランガー」であった。
 現在の主流となっているタンデムフックと異なり、ここではシングルフックが用いられている。リーダーには連結したプラスティック製ののビーズが通り、しっかりとフックを固定している。このようにリーダーをビーズで固定することによって、フックがルアーヘッドの後ろに真っ直ぐ位置し、フックアップ性能が向上するというわけである。もちろん、ビーズには光を反射するという効果もある。ビーズを用いたスティフリグ(フックを固定したリグ)の特長は、リーダーをグニャグニャと曲げることなく、常にフックをストライクポジションにキープできるという点にある。言い換えれば、ルアーがいかに派手にアクションしようとも、フックが跳ねてリーダーに絡んだりすることがないのである。しかし、もっと重要なのは、フックが常にルアーの後方に位置することによって、魚の口の外側にフッキングする確率が高くなることだ。
 これと同様のリグを使用しているコナのキャプテン、ジョン・クーンによれば、硬い口の内側よりも口の外側、頬の部分にフッキングしたほうがベターだという。もしもマーリンがルアーの横からアタックして、ルアーヘッドやスカートをくわえたとすると、フックはちょうど頬の部分に引っ掛かることになるわけだ。さらに、この時もしもフックが頬に刺さらなくても、口の中を通り抜けたフックが反対側にフッキングするチャンスもある。また、フックアップ率を高めるためには、アウトリガーでリリースクリップを用いてトローリングしたほうがよい。リリースクリップはわずかな抵抗で外れるようにし、リールのドラッグもかなり軽めに設定する。先ほどのロブ・パーディーは、ラインリリースとして、ラバーバンドではなく、AFTCOの「ローラートローラー」を使用しているが、やはりマーリンがルアーの匂いを嗅ぎに来ただけで外れるくらいリリースを軽めにしているという。ラバーバンドが切れるには、相当な力が必要なので、このメソッドには使えないのである。また、かつての名艇「ブラックバート」のキャプテン、バート・ミラーによれば、軽めのラインリリースによってラインが外れると、マーリンは逃げるように遠ざかるルアーを追いかけ、ストライクするという。ボートの進行方向と反対に走るマーリンがよりフックアップしやすいのは明らかである。
 フックアップ率を高める上でもうひとつ重要なのは、そのルアーのライディング姿勢に対してフックを上向きにセットすることである。特にフェイス部分が傾斜しているタイプのルアーでは、ちょうどボートでいうバウ部分のように必ず傾斜面を下にしてライドする。もしもマーリンがこのタイプのルアーを後方から真っ直ぐストライクしたとすると、フックを上向きにセットしていれば、上アゴ前方の内側にあるV字部(頬、アゴの連結部と同様に理想的なフッキングスポット)にフックアップするのである。

フックアップ率を高める
ビーズリグのリギング法



まず、フックにモノフィラのリーダーを接続する。コナでは400Lbから600Lbテストまでのモノフィラメントが好まれる。接続はスリーブのクリンピングで行なう。チェイフィングギア(ループプロテクター)は好みで用いる。

テーピングもしくはチュービング(プラスティック製のチューブを熱で縮める方法)でフックとリーダーを固定する。次にビーズを用意して、スカートの先端部にフックのベンド部が来るまでビーズを通す。コナでは写真の「トライビーズ」を多用するが、穴が小さく、ヘビーリーダーには使えない。太いリーダーを使う場合には、ドリルで穴を広げる必要がある。
 ビーズを通したら、それぞれ動かないようにタイトに固定し、スリーブをクリンプする。スリーブの前部にはテープを巻くか、チュービングを行なう。ルアーヘッドとフックがひとつのユニットとなるよう固定するには、ルアーヘッドのリーダーチューブ(リーダーを通すための穴)の内径に合ったスリーブとチューブが必要。ユルユルではなく、しっかりと固定できるくらいにぴったりなサイズがいい。


ルアーヘッドをリーダーに通し、クリンプしたスリーブを入れて固定する。スリーブを入れても固定できず、簡単に抜けてしまうようなら、後ろから爪楊枝ををペギングするとよい。ただし、フックアップ後はただちにルアーが自由に動くようでなければならない。フックアップした後もルアーが固定されたままだと、ジャンプやヘッドシェイクによってフックが外されてしまう。

ルアーのライディング姿勢に対して、フックは必ず上向きにセットする。フックポイントをスカート先端部付近に来るようにする。

テクニック6−By Don Mann
 Setting the Drag on Lever-Drag Reels

ドラッグを設定する

 腕の立つアングラーたちは皆それぞれに独自のテクニックを持っているものだが、唯一ドラッグセッティングに関してだけは異口同音に口をそろえる。ドラッグのプリセットは必ずボートを出す前に行なうべきだ、と。たしかに、勘だけに頼ったドラッグ設定というのは、まったく当てにならないものだ。
 セットしたドラッグが正確に何ポンド(もしくは何キロ)なのかを知るには、やはりハンドスケールが必要である。すなわち、伝統的な例の方法で計るわけだ。ラインの先端にハンドスケールを接続して1人が引っ張り、もう1人がリールのドラッグを調節するのである。だが、これだけでははたして充分といえるだろうか。

 例えば、ドラッグの設定は、まずドラッグワッシャーを暖めてから行なうということを御存じだろうか。この方法は各地のトーナメント・アングラー達によって当然のごとく実践されている。ワッシャーを充分に暖め、乾いた状態(熱で膨張した状態)にした上でドラッグを設定しないと、後で設定値が狂ってくるのである。これを解決するためには、ラインを繰り返し強く引っ張り、ワッシャーを摩擦で暖めるとよい。具体的には、ドラッグを適度な強さに調節した上で1人がライン先端のスナップスイベルを持ち、ゲームフィッシュのファーストランを真似て強く引っ張るのである。
 とはいえ、リールによってはこのヒートアップを行なう必要がない場合もある。例えば、ワッシャーの熱膨張を抑えるために、ペンリールのワッシャーには新素材が用いられているし、シマノのティアグラにも同様の工夫が見られる。

 もしも港で、誰かがラインの端を持って前後に激しく腕を振り、コックピットのもう1人が懸命にリールのハンドルを回していたら、それは間違いなくドラッグ設定前のヒートアップを行なっているのである。充分にドラッグを暖めたら、次こそハンドスケールを用いてドラッグを設定する。その時はくれぐれもロッドをファイティングの角度に保つことを忘れずに。
 理想的なドラッグ値は、使用するラインテストの25〜30%。それをドラッグレバーのストライクドラッグ・ポジションに合わせるわけである。ストライクドラッグを設定したら、今度はドラッグレバーを一番前に倒した状態(最強の状態)を計っておくとよい。ファイトの最終段階で、強いドラッグ値が必要な時など、マキシマムでどの位の強さがあるのかを知っておくことは重要だ。
 たとえどんなに経験を積んだアングラーであっても、ハンドスケールほど正確に計ることはできない。勘はあくまでも勘でしかないのだ。トロフィーサイズのマーリンがジャンプする時に、そんな勘が当てになるだろうか。ドラッグ設定には絶対スケールを用いるべきなのだ。

 もうひとつ、ドラッグ値は1日に何度もチェックすることを忘れてはならない。朝1回セットしただけで長い1日を通すのはあまりにも危険だ。気温の上昇は、魚のファーストランと同様にドラッグワッシャーを膨張させる。もちろん、1尾キャッチした後にも計り直したい。ドラッグを計り直すことなど、ほんの数分で終わる作業なのだから、手間を惜しむべきではないだろう。

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