Big Game Fishing
ビッグゲーム・フィッシング入門


協力・文・構成/岡田順三、(株)八点鐘  イラスト/高橋唯美

Part1 ボート BOATS
Part2 ロッド RODS
Part3 リール REELS
Part4 ライン、リーダー、フック、ルアー、ギャフ、その他
 LINE,LEADERS,HOOKS,LURES,GAFFS,etc.

Part5 ポンピング・テクニック “PUMPING”
Part6 ポイントの発見、及び操船
 Where are the Fishes? Trolling for the Big One

Part7 ストライク CRASH STRIKE
Part8 ファイト JUMP&FIGHT!
Part9 ランディング RELEASE or BOARDING

Part1
ボート BOATS

 まず最初に、喜怒哀楽、豹変ぶりの激しい日本の海では、20フィート前後までのスモール・ボートが、必ずしもビッグゲームの入門艇とはならないことをご理解下さい。ちなみに、JIBTでは、30フィート以上の艇がエントリーの対象となります。
 イラストでは基本的な大型艇と中型艇の船体各部の主要名称、さらに漁船をチャーターした場合のコックピットのアレンジについて紹介してみました。中型艇の場合はサイドデッキに設置するロッドホルダーの角度に変化をもたせたり、サブ・シートをロッドスタンドの付いたリーニング・パッド付スタンドに代えたりすることで、ゲームボートとしての機能とイメージが大きく変化します。
 では次に、日本の海の特性とビッグゲームを前提としたボートに求められる諸条件について考えてみましょう。それには次のような性能が挙げられます。

1. 荒天特性/追い波でバウを突っ込まないこと、向かい波での走航性に優れ、スプレーを浴びにくいこと。2. 安定性/低速で長時間のトローリングを続けるため、風や波の影響を受けにくいこと。重心が低く、ローリングが少ないこと(これは荒天時の安全性につながる)。3. 走航性/直進性能に優れ、急激な加速性能を備えていること。また、カジキの動きに合わせた後進機能も要求される。4. 排水/横波や急激な後進時の波かぶり等に対応するため、優れた排水機能が求められる。また、魚の汚れ等を素早く洗い流すためにもフラッシュ・デッキ・スタイルが望ましい。5. スピード/目指すポイントに可能な限り早く到達するための高速性能が得られること。6. 広視界/魚群を見つけるため、また、安全面からも、視界の良好なことが重要条件となる。また、ドライビング・ポジションからアングラ−の動きが100%視野に入ることが必要条件となる。7. 航行距離/カジキを追って、かなりの遠出が予想されるため、できるだけ走行レンジの長いことが要求される。8. コックピット/魚とのファイトやランディング時のリーダーマンやギャフマンの動きを考えると、そのスペースは可能な限りフラットで広いものが望まれる。また、安全性の上で、コックピット・フロアからサイド・デッキまでの高さは、少なくとも膝以上の高さを確保したい。
 以上の八つの事項は、ビッグゲームのためのボートを考える際の最低限度の確認点と言えるでしょう。また必要設備としては、デッド・ベイトやライブ・ベイトのためのアイスボックスやライブウェルを確保したいものです。さらに、各種電子航海機器や水温計も重要な“フィッシング・ギア”であることをお忘れなく!


大型艇、中型艇の各部名称はイラストをクリック
漁船のコックピット

Part2
ロッド RODS

 ビッグゲーム用のロッド、特に最重量の130ポンド・クラスを初めて手にされた方は、その、あまりにもヘビーな造りに圧倒されることでしょう。しかし近年は、ライトタックルで、よりビッグな獲物を記録することに重きをおくアングラ−も増えています。そこで、ライトタックルで釣られた素晴らしい記録――例えば1987年6月25日に達成された30ポンド・タックルの1103ポンド(500.31kg)のブルー・マ−リン―を見ると、逆に、“こんな道具で、あんなすごい魚が釣れるの!?”と、そのタックルの軽量なことに驚かされてしまいます。

 ロッドには、バット部(リール・シートが付いている)とチップ部(竿先。ガイドが付いている)に分かれた2本継ぎのものと、一部のライトタックル・ロッドや、ショート・タイプのスタンド・アップ・ロッドのようなワンピース・タイプのものがあります。


 バット部分は、アルミやステンレス製の堅牢なもので、エッジ(竿尻)には、ジンバル・ソケット内のクロス・バー固定させるためのジンバル・ノッチが刻まれています。バットにはストレート・バットとカーブド・バットの2つのタイプがあります。カーブド・バットは別名“ツナ・バット”とも呼ばれるように、元来、大型のマグロ類を対象として考案されたものです。カーブド・バットは、ストレート・バットに較べると、ロッド・ホルダーにセットした際に、海面に対してロッドの立つ角度が小さくなります。これは、巨大マグロがフッキングの直後に急激に深く潜る傾向があるため、ロッド・チップとラインの角度を大きくとることにより、ライン・ブレイクを防ぐことを目的としたものです。また、ポンピングの際の体の可動範囲が大きくなることも、この種の釣りには有利となります。ちなみに、カーブド・バットの長さは、リールの中心位置から竿尻までの直線距離で計ります。


ストレート・バットとカーブド・バットを使用した場合のロッド角度の相違を示す図。ロッドとラインの作る角度が大きい方が、ラインブレイクは少ない
 ガイドは堅牢なローラー・ガイド(アフタコ社、フィン・ノール社等)を使用したものが安心できるでしょう。
 ロッドを購入する際の注意点は、ガイドとリール・シートが真っすぐに揃っているか、ジンバル・ノッチがきちんと刻まれているか、バット部とチップ部をジョイントした際にガタつきが無いか等を確認して下さい。また、ロッドには問題が無くても、ロッド・ベルトやファイティング・チェア−のソケット自体に歪みがあるがある場合もあるので注意して下さい。
 ロッドの選定基準は、まず使用するライン・クラスに適合したバランス・タックルを考えることです。漁船等をチャーターする際はファイティング・チェア−が無い場合もあるので、ロッド・ベルトやファイティング・シートを用意することも必要になります。

 カーブド・バットは、ファイティング・チェア−が装備されている場合でも、チェア−自体にカーブド・バット用のジンバル・ポジション(ストレート・バットよりも下方にジンバル・ソケットが設置されている)が設定できるものでなければ意味がないので、注意が必要です。
 ロッドはガイドが命です。ローラー・ガイドの場合は、いつも滑らかなローラーの回転を保つために、保守点検には細心の注意を払って下さい。

ロッドベルトとハーネスを使用し、スタンド・アップ・ロッドを体に装着する。キドニー・ハーネスは、ポンピングの可動範囲は小さいが、疲れが少なく長時間のファイトに適している


典型的なトローリング・ロッド。左からヘビー・クラス(カーブド・バット)、ヘビー・クラス(ストレート・バット)、ミディアム・クラス、ライト・クラス。ヘビー・クラスは、ほとんどが堅牢なローラー・ガイドを装着している。ライト・クラスにはリング・ガイドが付くことがある

 最後に、漁船をチャーターしたり、ファイティング・チェア−の装備されていないボートでビッグゲームにチャレンジする際のロッドの選定について述べておきましょう。
 現在、市場に出ているビッグゲーム・トローリング用ロッドは、元来、ファイティング・チェア−で使用するために開発されたものです。そこで、ファイティング・チェア−の設備の無いボートで、非常な困難の中でファイトを続けている日本のビッグゲーム・アングラ−にとって、スタンド・アップ・ファイトのために開発されたロッドは、まさに待ち望まれていたものと言えるでしょう。ロッド・チップが短いので、ロッド・ベルトとハーネスで体に装着した際に、リールと腕のポジション・バランスが良く、また、サイド・デッキのロッド・ホルダーにセットした際も、容易にトップまで手が届くので、アウトリガ−のスティンガ−・ラインにフィッシング・ラインをセットするにも手こずることがありません。
 また、IGFAルールのロッドに関する規定(ロッド・チップはリールの中心位置から40インチ(101.6cm)以上、ロッド・バットの長さは27インチ(68.58cm)以内)を満たせば、この範囲で自分の体に合ったオリジナル・ロッドを作ることも可能です。

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