Part1 ボート BOATS
Part2 ロッド RODS
Part3 リール REELS
Part4 ライン、リーダー、フック、ルアー、ギャフ、その他
 LINE,LEADERS,HOOKS,LURES,GAFFS,etc.

Part5 ポンピング・テクニック “PUMPING”
Part6 ポイントの発見、及び操船
 Where are the Fishes? Trolling for the Big One

Part7 ストライク CRASH STRIKE
Part8 ファイト JUMP&FIGHT!
Part9 ランディング RELEASE or BOARDING

Part6
ポイントの発見、及び操船
Where are the Fishes? Trolling for the Big One

ビッグゲームの対象となるカジキ等の大型回遊魚が、日本近海に回遊してくる時期と場所には、毎年かなりの変化があります。それは黒潮の動きに伴なう潮温の変化によるわけですが、近年よく耳にする「冷水塊」や、地球的規模での海流の循環変化にも大きく影響されています。海況等の条件から、私たちアマチュアのスポーツ・アングラーが日本の沿岸でチャレンジできる時期は、沖縄以外の海では4月から10月頃となります。1月から3月にかけての三宅島や御蔵島沖では、マカジキ(50〜100kg)やビンチョウマグロ(20〜30kg)のベストシーズンであり、300kgに達するクロマグロも八丈島沖に回遊してきます。しかし、厳冬期の西風の強い荒海での釣りはアマチュア向きとは言えないでしょう。前章までで、必要なボート装備やタックルの概要を紹介してきましたが、いよいよフィールドでの、ビッグゲームの実際を追ってみることにしましょう。


 関東沿岸でのビッグゲームの入門コースは、4月から5月、水温が18°C以上に上昇する頃、上りガツオと共に回遊してくる小型マカジキ(20〜40kg)となるでしょう。俗に「シンメ(新芽)」とも呼ばれるこの時期のマカジキは、群れをなして回遊しているため、3〜4尾が同時にヒットすることもあります。大島沖から、利島、三宅島まわりがそのフィールドとなります。
 水温が22°C以上になると、待望のビッグゲームのメイン・ターゲットとも言えるクロカジキ(ブルー・マ−リン)が回遊してきます。海が穏やかになる梅雨明けの7月下旬から、23〜26°Cの高水温で安定しだす旧盆過ぎ頃が、ビッグゲーム・トローリングのベスト・シーズンとなります(ちなみに1977年の6月に、南伊豆で609kgのクロカジキが職漁者の突きん棒で記録されています)。
 他の多くの釣りと同様、ビッグゲームも気象や海況から魚の動きを推察し、多くの情報を得ることが確実な釣果につながりますが、同時に、対象魚のいなそうなポイントを捜したり、フック・アップ(ハリ掛かり)させるための操船テクニックが大きなウエイトを占めてきます。また、キャプテンとクルー(リーダー・マンやギャフ・マンの役割を担当する)、それにアングラ−とのチーム・ワークが要求されることも、この釣りの大きな特徴と言えるでしょう。
 まず、天候、海流、潮汐および潮流、水温、水色等が、釣行前に取り揃えておきたいデータとなります。このデータの活用が、釣果を大きく左右します。対象魚の適正水温や捕食パターン等を知ることも重要で、これらのデータの蓄積を、釣りの装備に反映させることが必要です。


●ポイントの捜し方と操船テクニック

 例えば、関東近海には伊豆諸島とそれらの島々に付随する瀬があるために、潮の流れも大きく複雑に変化します。
 餌となる小魚の行動に合わせ、大型回遊魚の捕食海域も大きく変化します。つまり、カジキの魚影を捜すということは、餌となる魚のポイントを探ることに他なりません。
 その際の目安となるポイントは、1. 海底地形と潮の流れ、2.潮目、3. トリヤマ、4. 浮遊物、5. 根付き、瀬付き魚群、などがあります。これらを探すことは、その周辺にカジキ等の大型回遊魚がいる可能性が高いわけで、当然、ストライクのチャンスも多くなります。また直接、カジキが遊泳する際に海面上に垣間見ることのできる尾鰭等を探すことも確実な方法です。
 5. は1. の海底地形を知ることにつながります。これは、餌となる小魚の豊富な岩礁や瀬に、小・中型回遊魚の魚群が長く溜まっている状態を言いますが、当然、そのようなポイントには大型回遊魚もよく現れます。
 4. は、流木や流れ藻等に付くプランクトンや稚魚、また、それを追って、その陰影に集まる小・中型魚の群れを捜すことにつながります。
 このように、一般的に餌となる小魚が多く集まっているポイントとして広く知られている潮目やトリヤマ以外にも、大型回遊魚が居そうな“目印”となるポイントをできるだけ多く捜し出すことが釣果を大きく左右します。広大な洋上を、ただ漫然とルアーを引くのではなく、船上の全員がビッグフィッシュを求めて、前記のような目標物を探すために集中力を発揮することが必要です。同時に、ルアーの引き方、使用するルアーのパターン等にも随時変化を持たせ、効果的にさまざまな条件に対応できるように心掛けたいものです。
 出港後、目指す海域に近付くと、アウトリガーを出して、外側の、一番長く流すルアーからセットし始めます。
 アウトリガーは、流すルアーどうしを、できるだけ離すことで、ラインのおまつりを防止することを主たる目的として考案されたものです。
 使用するライン・クラスが異なる場合は、一番長く流すルアーに最も細いラインを使用し、以下、流すラインが短くなるにつれ太くなるようにします。また、ルアーを流す順序は、遠くに流すルアーから順にセットするようにします。これは、先に流したルアーに、後から流すルアーから絡まないようにするためです。ルアーを海に入れる際は、スカート部(ビニール・ベイト)やフック、それにリーダーやラインに絡みや傷が無いか、充分に注意しながら、ボートの航跡に沿って静かに海に入れます。
 アウトリガ−・ラインとフラット・ライン(アウトリガーにセットせず、ロッドから直接引くもの)の標準的な位置関係、および流すラインの長さは図の通りです。また、ルアーを流し始めた直後にストライクがくる場合もありますので、ハーネスやファイティング・チェア−の調整、および、ドラグ・ポジションは事前に入念にチェックしておかねばなりません。
 ルアーを引くスピードは、海況やルアーのタイプ、また、キャプテンの好みによって異なりますが、だいたい5〜12ノットの間となります。海が荒れている時はスピードを遅く、また、ルアー以外のデッド・ベイト(5〜6ノット)やライブ・ベルト(2〜3ノット)を使用する際は、更に遅くなります。これは、使用する餌(ルアー、デッド・ベイト、ライブ・ベイト)が、最も自然な状態を演出することにあります。
 そして、常にカジキが捕食する際の状況を想定し、対象魚が居そうなポイントと、そこを通過するルアー等の位置関係を、常にベストに持っていくことを心掛けたいものです。高性能のボート、完璧なタックル、実績のあるルアーと、いくら三拍子が揃っていても、肝心のカジキがその近くに居なければ何の意味もありません。カジキの鼻先に、できるだけカジキの近くにルアーをプレゼンテーションすることが最も重要なことなのです。

<標準的なルアーの流し方>

※1. と2. 、3. と4. が各々左右逆パターンとなってもよい。海況が穏やかな時は、軽量で動きが大きいタイプ、波の荒い日は、重量があり、動きの少ないタイプのルアーがよい。異なるクラスのラインを使用する場合は遠くに流すものに弱いラインを使用する。また、各層をカバーするために、ルアーはサーフェス・ランナー、サブ・サーフェス、ディ−プ・ダイブ等のタイプを併用するとよい。ルアーの流し方には、あまり一般的ではないが、アウトリガ−・ラインを短く、フラット・ラインを長く取る“Vパターン”もある。

Part7
ストライク CRASH STRIKE
 突如、アウトリガ−が大きくしなり、「バシッ」という音と共にラバー・バンドがはじけ飛びました。同時に、「ジー!」というリールのクリック音がけたたましく鳴り響き、ラインが一挙に引き出されます。カジキの大きさやフッキングした位置により、時にはファースト・ランで数百メートルもラインを持って行かれることがあります。胸が高鳴り、最も緊張する瞬間です。ここで慌てずに、確実にフッキングをすることが勝利への第一歩となります。

 カジキが大きくジャンプした後も、ラインに強い負担がかかっていれば、フッキングは、ほぼ成功したと言えるでしょう。アングラ−はロッド・ポストからロッドを抜き、ファイティング・チェア−に座りながら、ジンバル・ソケットに竿尻をセットします。
 ロッド・ホルダーからロッドを抜く際は、ロッドにかかったテンションだけを引き戻す要領で、ロッド・ホルダー内部にかかる横圧力を減じなければ、なかなかロッドは抜き取れません。この際、ドラグを少し緩める方法もありますが、初心者が慌てふためいた状態でドラグを少しだけ緩めることは意外と難しく、時にはドラグを緩めすぎて、バックラッシュといった最悪の事態を招くこともあります。できれば、ストライキング・ポジションからドラグを緩めずに、腕力でロッドを抜き取れるようにコツを覚えておくことが望ましいでしょう。
 ロッドをファイティング・チェア−に移す際は、カジキの方向に竿先を向け続けるように心掛けます。 カジキのファースト・ランを制すれば、アングラ−にほぼ勝利が約束されるほどの明暗が、ここにかかっているわけです。この間はドラグに触れてはいけません。

 ファースト・ランがなかなか止まらず、ライン・スプールの径が急激に小さくなるのを見て、慌ててラインの出るのを止めるためにドラグを締めるようなことは絶対に避けねばなりません。スプールの径が小さくなるにつれ、“力のモーメント”の関係で、ドラグ強度はますます強くなっています。つまり、魚がラインを引きだし、ボートから遠ざかるほどにドラグ強度は強くなっているわけですから、この時にドラグを締めることは確実にライン・ブレイクを招いてしまうことになります。また、ラインにかかる水の抵抗もバカになりません。結果、長時間に及ぶ潜行や、ファースト・ランが続く時は、魚とラインの角度に注意し、水圧によるライン・ブレイクに注意しなければなりません。
 また、この間に、クルーは他のロッドがファイトの邪魔にならないように、手際良く仕舞わなければなりません。
 キャプテンは魚の動きに細心の注意を払い、やや船速を落とし、船尾方向に魚がくるように操船します。そして魚の動きに合わせ、前進・停止・後進を使い分け、ラインにたるみを与えないようにアングラ−をサポートします。

 ●カジキのビル(吻)は非常に固いので、確実なフッキングは非常に難しいものです。少しでもラインをたるませると、カジキが身をよじり、大きくビルを振った際にフックが外れてしまうことがよくあります。フックを外されないためには、常にラインにテンションを与え続けることが必要です。

 ●ストライクの直後は、通常、船速を数秒間上げてフッキングを確実なものにしますが、ルアーを軽く吻に引っかけたままボートと同一方向に泳ぎ出した場合は、全速でボートを走らせ、確実にフッキングさせねばなりません。
※ライブ・ベイトの際は、カジキがベイトのカツオを喰わえて泳ぎ始めると、ラインに抵抗を与えないようにしながら充分にラインを送り出します(ドロップ・バック)。ラインが一層早く出始め、カジキが完全にベイトを呑み込んだ頃合を見計らい、ドラグをストライキングに締めると同時に、3秒から10秒ほどボートを全速前進させ、フック・アップをかけます。

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