Part1 ボート BOATS
Part2 ロッド RODS
Part3 リール REELS
Part4 ライン、リーダー、フック、ルアー、ギャフ、その他
 LINE,LEADERS,HOOKS,LURES,GAFFS,etc.

Part5 ポンピング・テクニック “PUMPING”
Part6 ポイントの発見、及び操船
 Where are the Fishes? Trolling for the Big One

Part7 ストライク CRASH STRIKE
Part8 ファイト JUMP&FIGHT!
Part9 ランディング RELEASE or BOARDING

Part8
ファイト JUMP&FIGHT!

 完全にフック・アップした後は、いよいよビッグゲームの開始となります。アングラ−はポンピングを繰り返しながら、小刻みにラインをリトリーブ(巻き取ること)して行くわけですが、時にはファイトが長時間に及ぶ場合もあります。しかし、どんなにファイトが長時間に渡ろうとも、IGFAルールでは、アングラ−は誰からも手助けを受けることなくファイトを続けることが要求されています。
 記録されているファイティング・タイムの中で最長のものは、HIBT期間中のハワイ島コナ沖で記録された23時間というものです。しかし、この長時間のファイトを続けながら、最終的に魚がランディングされることなくジ・エンドとなったのは寂しい気がします。


 ファイト中、キャプテンはアングラ−のリ−リングに注意し、ラインを常に張るように操船することが必要です。アングラ−とキャプテンのコンビネーションが良いと、ボートのリバース・ギアを使い、ラインをたるませることなく、効率良くリトリーブすることができます。
 カジキがジャンプした時はボートを前進させ、ジャンプによって生じるラインの緩み(フケ)を防ぎます。同様にカジキがボートに向かって泳いでくるような場合も、前進速度を早めます。これはラインの緩みを防ぐと同時に、カジキの体にラインが巻きつかないようにするためです。
 魚の引きが強く、リールからラインが出ている時は、アングラ−は深く座り、ハーネスで魚の引きを支え、魚が力の限り抵抗を続けている間に腕や手を休めて、体力を回復させるくらいの余裕が欲しいものです。

 前章の「ストライク」の項でも述べましたが、水の抵抗によるライン・レジスタンスには非常に大きなものがあります。例えば、マ−リンが15ノットの速力でストライクし、50ポンド・テスト・ラインを500m程引き出したとすると、この時のラインに掛かる抵抗は、何と28ポンドにも達すると推察されています。また、50ポンド・ラインを200m程引き出したマ−リンが、135度のターンを時速9ノットで行うと、リールには5ポンドの張力しか掛からないものの、マ−リンには22ポンドの張力が掛かっていると計算されます。つまり、アングラ−は大した“引き”を感じていなくても、合計すると27ポンドものプレッシャーがラインには掛かっているわけです。それゆえ、大きく弧を描いたラインは、できるだけ早くリトリーブしなければなりません。この際の注意点は、キャプテンは魚を追うのではなく、ラインを追ってボートにリバースをかけることです。このテクニックをマスターすれば、ライン・ブレイクの危険は大幅に減少します。


 また、フックアップした後に、魚が急旋回したり、左右にボートを追い抜いていった際に(パワフルに、目まぐるしく動いた時)ライン・ブレイクを防ぐ唯一の方法は、フリー・スプールに近い位にドラグを緩め、ラインをスムーズに送り出すことです(ただその際も、ラインには水の抵抗でかなりのプレッシャーが掛かっています)。そして、魚の動きが鈍ったところでドラグを少し上げ、ボートをリバースさせながらラインを素早く巻き取ります。
 キャプテンは、アングラ−のファイトと魚の動きに注意し、適切な操船でアングラ−のファイトを助けます。チェア−・マンは魚の引く方向にアングラ−の向きを変えるため、ファイティング・チェア−の水平角度を調整します。

 ファイトでは、アングラ−とキャプテン、そしてチェア−・マン達とのチーム・プレイが、勝敗を決定する大きな要素となります。キャプテンは魚とアングラ−のファイトに注意を払い、ラインの角度とテンションを一定に保つように努めます。優秀なキャプテンはファイトが長時間に及ぶ場合は、アングラ−の体力の回復を待つために、魚とラインの均衡を絶妙に保ちつつ、時間を稼ぐコツをわきまえているものです。
 マ−リンのファイトは、必ずしも魚体の大きさには比例しません。また、それはフッキングした位置によっても大きく異なります。


Part9
ランディング RELEASE or BOARDING

 スリルと疲労の入り混じったファイトも、ようやくフィナーレを迎えようとしています。ダブル・ラインがロッドのトップ・ガイドをくぐり、リーダーまであと僅かとなりました。魚体の重量は既に推察されていますので、タグ&リリース(標識を打って放流する)かボーディング(船内に取り込む)かの判断は終わっています。
 タグ&リリースの場合は、タグ・ポールの先端に付けたタグを背鰭基部の筋肉組織に打ちます。小型カジキの際はリーダーを手繰り寄せ、ビルを掴み、フックを外しますが、大型カジキの場合は、リーダーをできるだけフックに近い位置で切断します。フックは海水や胃酸の働きで、短期間で腐蝕してしまいます。
 ボーディング(ランディング)の際は、リーダーマンとギャフマンの息の合った作業が必要となります。ここではランディングの実際を紹介しましょう。

 リーダーマンもギャフマンも、共に、その役割には非常な危険が伴います。手袋は綿と革製品を重ねて使用するくらいの安全策が必要となります。
 アングラ−は、ダブル・ラインをリールに巻き込み、リーダーがロッド・チップの間際まで来ると、ロッドを起こしたままで保持し、リーダーマンがリーダーを取りやすくします。リーダーマンとギャフマンは、共に腰を落として重心を低く構え、ボートの揺れと魚の動きに対し、万全の態勢を取ります。決してカジキの動きから目を離してはいけません。

 リーダーは、絶対に手に巻きつけないようにして取ります。また万一のジャンプに備え、カジキのビルをギャフマンの正面に引き寄せないように心掛けます。そして、ボートとカジキの動きに合わせて、ギャフを打ちやすいように、ゆっくりとカジキを手繰り寄せます。カジキが暴れる時は無理をせずに、リーダーを放し、最初からやり直すようにします。
 アングラ−は、ドラグ強度を適当なポジション(ストライキング・ドラグの2/3〜1/2)に保ち、リーダーマンがいつリーダーを放しても対処できるように構えていなければなりません。リーダーマンがリーダーを掴んだからといって、すぐにロッドを放し、ファイティング・チェア−から降りるようなことがあってはいけません。ファースト・ランの次にライン・ブレイクの危険が伴うのが、このランディングの時なのです。


リーダーマン(右)とタグマン。通常、ギャフマンがタギングを担当する。ポールの先には、小さなモリ状のタグが付いている。カジキ類の生態は、年齢、成長、回遊経路等、まだ不明な点が多いが、タギングのおかげで数千キロメートルの移動が確認された例もある。「タグ&リリース・トーナメント」も、スポーツ・アングラ−の間ではポピュラーになりつつあり、今後、再捕報告の増加と共に、不明な点が少しずつ解明されて行くだろう。
 ギャフは必ずフライング・ギャフを使用し、尻手ロープは必ずボートに結んでおきます。
 ギャフは背鰭の前端基部の下方、人間でいえば肩に当たる部分か顎の下に、前方から手前に引く要領で打ちます。
 アングラ−は、ギャフがしっかりと魚に掛かり、完全にその動きを止めるまでファイティング・チェア−に座り、常に臨戦態勢でいます。
 1本のギャフで心もとない時は2本、さらに巨大なカジキでは3本のギャフを打つ場合もあります。
 ランディングは、ギャフ・ロープをゆっくりと手繰り寄せ、バットでカジキの頭部(眼の上)を打ち、息が絶えるのを確認してからコックピットに引き上げます。大型カジキの場合は、ビルを掴み、ミート・ギャフ(柄の付いていないギャフ)を下顎に入れて引き上げることもあります。
 キャプテンは、常にカジキとボートの間隔を保つと共に、ギャフィングとランディングが最適なポジションで取り行なえるように操船しなければなりません。
 無事にカジキをランディングすることに成功すれば、後は冷たいビールかシャンパンの乾杯を交わすばかりです。

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