巨大なライブウェルでベイトフィッシュを生かしておくことができない限り、ライブベイティングはまずベイトフィッシュを釣ることから始めなければならない。弱ってしまわないように丁寧に、だが素早くキャッチすることが大切。
ライブベイティングのリギング <do it quickly!>
慣れたアングラーであれば、一連の作業を10秒以内で行なうことができる。


 これまでは、スキップジャックツナ、ドラドなどのベイトについて書いてきたが、マ−リンに有効なライブベイトは他にもたくさんある。ボニートをはじめ、小型のブラックフィンやイエローフィン、ブレット、フリゲートなどのツナ類、ならびに各種のマッカレルがそうだ。また、ハウンドフィッシュやボーンフィッシュ、レインボーランナーなども、やむを得ない場合にはライブベイトとして使われることもある。だが、最も頻繁に用いられるのは、やはりツナ類である。
 ダクロンラインを用いた一般的なライブベイト用リグは次のようなものだ。1人がベイトフィッシュを釣っている間に、もう1人はそのリグを用意して待っていなければならない。したがって、リグは前もって作っておく必要がある。
 使用するベイトフィッシュの大きさに合わせたサイズのマ−リンフックを、太めのモノフィラメントリーダー(300〜500Lb)にスリーブで接続したものが、標準的なリグだ。フックサイズの基準としては、ブレットツナやボニートなど小型ベイトの場合には、10/0か12/0。より大型のスキップジャックやツナ類には、13/0、14/0でも大き過ぎることはない。このフックのベンド部分に、10Lbテストのダクロンラインで作った5〜6インチ大の輪を結び付ける。その輪のもう一方には、リギングニードル(12番くらいのワイヤーの端を輪にした自製リギングニードルでもいい)を結びつける。このように用意したリグを、ベイトフィッシュを釣っているアングラーの手近な場所に置いておく。

 ベイトフィッシュは素早く丁寧にキャッチしなければならない。ツナ類は口や皮が少し切れただけでも、すぐに大量の血を出してしまうからだ。できれば、トレブルフックよりもシングルフックを使ったほうがいい。ベイトフィッシュを慎重にランディングしたら、丁寧にフックを外して、濡れタオルで魚体を包み込む。この時、目をふさぐと、あまり暴れない。

 それから、ダクロンの輪を通しておいたリギングニードルを、ベイトフィッシュの眼窩の上部(11時の位置。もし魚体を左に抱えていれば1時の位置)に刺し通す。この位置なら、ニードルはどの骨にもぶつからない。
 ニードルとダクロンの輪が眼窩を完全に貫いたら、今度はその輪をフックポイント(ハリ先)から通し、ベイトフィッシュの頭の上部にフックがしっかりと固定されるまでグルグルと巻きつける。こうすると、フックはポイントを上に向けたままでベイトフィッシュの頭に固定されることになる。

フックには、ダクロンラインとリギングニードルを取り付け、いつでもリギングできるように準備を整えておく。ベイトフィッシュをキャッチしたら、濡れタオルなどで魚を包み、手早くリギングを終了させなければならない。


ベイトフィッシュが入手できる場所とビルフィッシュがいる場所とが離れている場合は、濡れタオルで包み、海水の出るホースをベイトフィッシュの口に当てて酸素を送り込む。5〜10分までなら、この方法で何とか持たせられるだろう。
 慣れたアングラーであれば、ベイトフィッシュをキャッチしてからの一連の作業を10秒以内で完璧に行ない、ベイトフィッシュを弱らせずに海中へ戻すことができる。もし不安なら、ダクロンの輪を使う代わりに、小さめのグルーパーフック(7/0くらい)をマ−リンフックのベンドに装着しておいてもいい。装着方法は簡単だ。グルーパーフックのアイをプライヤーで開き、マ−リンフックのベンドに当てて、また元のように閉じるだけだ。ただし、互いのフックポイントは逆方向を向くようにすること。釣り上げたベイトフィッシュの口に、このグルーパーフックを刺すだけで、ダクロンと変わらないプレゼンテーションが可能になる。
 また、場所によっては、ベイトフィッシュとビルフィッシュが同じ海域にいないこともある。ハワイ島コナのスキッパーたちは、この問題を解決するために、コックピットのホースを巧みに利用している。岸寄りでキャッチしたツナを、さらに沖のエリアまで持っていかなくてはならない時、彼らはツナを濡れタオルに包んで抱え、その口にホースを当ててフルスロットルで急行するのである。酸素を含んだ新鮮な海水がベイトフィッシュのエラを通り抜けるため、目的の場所に到着するまで、5〜10分程度なら弱らせずにすむのである。
 むろん、最も理想的なのは、ツナのような大型のベイトフィッシュを弱らせずに生かしておけるだけのライブウェルを装備することだが、そのようなボートは滅多にない。
 このように数々の難題があるものの、巨大なマ−リンが10Lbもあるようなツナをくわえこむ光景は、ビッグゲームフィッシングにおける至高の経験と言えよう。コンディションさえ許すなら、ライブベイティングは試してみるだけの価値はある。ルアーとはまた別の面白味が見つかるだろう。

Live-Baiting Sailfish
セイルフィッシュのライブベイティング

 冬期のフロリダ沖におけるセイルフィッシュのライブベイティングは、芸術と呼べるまでに洗練されたスポーツフィッシングである。使用するベイトは、ゴーグルアイ(サンフィッシュ科の淡水魚、ウォーマウスとも呼ばれる)、ピルチャード、小型のブルーランナーなど。ライトタックルにショートシャンクのフックという組み合わせで狙うのが普通だ。フックはベイトフィッシュの口か背(背ビレの前部)に掛けるだけでよい。
 これらのライブベイトは、海面上80〜180フィート(24〜54m)の高さに上げたカイト(凧)を用いて、沖のリーフ沿いにドリフトさせる。この間、リールはフリースプールにし、ボートはカイトの高さが一定になるように小マメに前後させるだけでよい。
 フロリダキースでは、上記のベイトではなく、特にバリフーが好んで用いられている。バリフーはチャミングして寄せておき、投網でまとめて捕獲する。ツナ類とは違い、ライブウェルの中でも生かしておくことができる。釣り方としては、同じくリーフ沿いのカイトフィッシングだ。しかし、セイルフィッシュがバリフーのスケールを追いつめて、空中に激しい飛沫を立てているのが発見できたらラッキーだ。その時は、ボートを現場に急行させ、すかさずバリフーのライブベイトをドリフトさせてみる。これはスリルいっぱいで、しかも非常に確率の高い釣り方である。

Live-Baiting Striped Marlin
ストライプトマーリンのライブベイティング



これがバハを代表するフィッシング・スタイル。カジキ、もしくはキハダの魚群を見つけるとボートは全速で好ポジションをキープし、アジのライブベイト、もしくはデッドベイトをプレゼンテーションする
 ライブベイティングの対象となる他のビルフィッシュとして、ストライプトマ−リンが挙げられる。特に、メキシコのバハ沖では有名である。長年に渡り、ビルフィッシュはサイトフィッシング(見釣り)で狙われてきたが、特にストライプトマ−リンはその特徴的な鎌状のテイルが洋上において見つけやすいため主にデッドベイトとルアーによって盛んに狙われてきた。
 しかし、バハでは、フリゲート・マッカレルやマレットをライブウェルで生かしておき、ストライプトマ−リンのテイルを発見すると、トローリングを中断して、ライブベイトをマ−リンにキャストするという大胆な釣り方が行なわれている。

 チャーターボートの中には、アングラ−がよりベストな位置へライブベイトをキャストできるよう、ライブウェルをバウデッキに設けているボートまである。マ−リンのところへ、それもあまり近過ぎて怯えさせない程度のところへ、トローリングリールを使って正確にキャストするためには、かなりの技術が必要である。

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