| 「釣りの規定」では、アングラー以外のタッチに注意する。 「IGFAルール」の中の「釣りの規定」における大原則は、「釣り人は魚がベイトまたはルアーにストライクした時から、他の人の助けを借りないで魚をフックにかけ、ファイトし、そしてギャフをかけるまで1人で魚を寄せなければならない。」という一文に集約されている。より具体的な注意点を挙げるなら、 1 アングラー以外の人間がタックル類に触れてはならないこと。 2 ファイト中、ボートの舷側などにロッドを立て掛け、休んではならないこと。 などがある。1に関しては、ランディング時にリーダーをつかむことはOKだが、もしもダブルラインをつかんだ場合には失格になることを併せて覚えていてほしい。あとは例外として、ファイティング中のアングラーに誰かがハーネスを装着したり、調節したりすることは許されている。 2についての疑問はないだろう。舷側にロッドを立て掛ければ、当然アングラーの負荷は減る。こうなれば、それはアングラーがファイトしているのではなく、ボートがファイトしていることになるのだ。 さらにこれは特にオフショアの釣りで多いアクシデントだが、 「サメ、その他の魚または哺乳動物などにかまれた傷、プロペラなどによって(魚体が)切断された時」 にも失格になる。もしもそのような損傷がなければキャッチに至らなかったかもしれないという論理である。仮にファイト中のカジキにサメが噛み付いたとすれば、それはサメがアングラーに荷担して魚を弱らせたと考えられても仕方がない。しかし、かつてヘミングウェイは次のように記している。 「魚が鮫によって息の根を止められた場合には、たしかに釣り人は魚を仕留めた栄誉を受けるわけにはいかない。しかし、鮫に襲われたのが、手鉤に掛けられた後だったり、あるいは釣人が魚を打ち負かして水夫が鉤素を手に掴んでいた間であったりしたのなら、その釣人が魚を仕留めた栄誉をそっくり自分のものにすべきだと私は考える。魚は身を食いちぎられ血を出して目方が減っているのであり、それを記録に載せねばならないという不利を斟酌すべきではないか。」(朔風社、『ヘミングウェイ釣文学全集』下巻「損なわれた魚について」より引用) 巨大カジキをただ独りで釣り上げた『老人と海』のサンチャゴは、小舟に魚を縛りつけた後、サメの攻撃を受けた。しかし、どうだろう。たとえ魚が変わり果てた姿になっても、サンチャゴ老人の栄誉は何も変わらなかったはずだ。もっとも、こうした魚を記録として認定したり、トーナメントにおいて採点したりすることは紛れもなく「IGFAルール」に違反するが、少なくともアングラーの栄誉は色褪せるものではない。 ルールばかり捕らわれて、本当に大切なものが見えなくなっては本末転倒である。 |