DON MANN
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今回は「ビルフィッシュのサイトフィッシング」。つまり、背ビレを出してサーフェスに浮いているカジキをどのようにして釣るか、という内容である。筆者が本文中で指摘しているように、サイトフィッシングの醍醐味はハンティングのスリルにある。これを一度やってしまうと、通常のトローリングでは何も感じなくなってしまうとか……。より強烈な刺激を求める快楽主義者には意外と向いているかもしれない。今後、日本でサイトフィッシャーが増えることを期待したい。
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アメリカのツナフィッシャーたちに学ぶ
フィンニング・ビルフィッシュへのアプローチ法 数あるビルフィッシュの釣法の中でも、サイトフィッシング(見釣り)で得られる興奮は極めつけである。普通サイトフィッシングはボーンフィッシュやパーミットを狙うフラット・フィッシャーマンが行なう釣り方と思われがちだが、実はビルフィッシュでも可能なのだ。ハンティングのスリルとストーキング(獲物に忍び寄ること)の忍耐力、そしてベイトやルアーを食わせる難しさ。サイトフィッシングの魅力は、トローリングなどのアンサイトフィッシングと比較するにはあまりにも強烈すぎる。 ビルフィッシュがサーフェスに浮いている(通常ストライプト・マーリンやセイルフィッシュ、ソードフィッシュが多い)のを見かけることは意外に多いものだ。彼らがそこで何をしているのかは分からないが、アングラアーがとるべき最初の行動は決まっている。魚を脅かすことなく近づくこと。これが成功しなければ何も始まらないのだ。つまり、たとえ騒々しいパワーボートであっても、ステルス戦闘機のように静かに忍び寄らなければならないのである。 しかし、近づくより先に、何はともあれ魚を見つけることが初めの一歩である。だが、サーフェスにいるビルフィッシュを見つけるためには、相当にシャープな眼が必要だ。ボートに乗り込んでいる人間はすべてこの作業を行なわなければならない。穏やかな凪ぎの日なら、背ビレが見えたり、海面がわずかに揺れたりするので分かりやすい。 |
| 先にも述べたように、サイトフィッシングはハンティングの要素を持っている。ハンティングにおいてストーキングが重要なように、ビルフィッシュのサイトフィッシングにおいてもアプローチとベイトのプレゼンテーションは要である。その意味で、フラットでのボーンフィッシングと同じルールがあてはまると言えそうだ。 サーフェスに浮いているビルフィッシュはとても神経質になっている。キャプテンの中には、魚を発見した途端にスロットルを全開にして、フィンニングしているビルフィッシュ目がけて突進するものも少なくない。彼らの目的は魚の目の前でベイトを引っ張ることなのだろうが、現実はパニックに陥った魚を深みへ潜らせてしまうだけだ。ボートと後方に流したベイトとの間が近すぎると、結果的にボートは魚の目の前を横切るようなかたちになってしまう。だが、ベイトを遠くに流して、もっと大きな弧を描くようにボートを動かせば、魚から離れた状態でベイトのプレゼンテーションが行なえるのである。もしも魚が泳いでいるような場合は、当然その前方に切り込むような真似は避けなければならない。ましてや魚の頭上を通過するなんてことは絶対にやってはならない。なにしろ、近づきすぎてしまっては、後方を流れるベイトにはもはや何の魅力もないのだ。ボートの陰によって日光浴ができなくなった魚が深みへと去るだけである。 サイトフィッシングのハウツーは、ブルーフィンツナを追いかけていたかつてのエキスパートたちに学ぶところが多い。 毎年春になると、ガルフストリームに乗って巨大なブルーフィンツナの群れが北に向かって回游するのである。スキッパーたちはツナタワーの上に登り、まるで海面直下を進む潜水艦のような海面の盛り上がりを探すのだ。群れを発見すると、キャプテンはエンジンを唸らせて、回游進路の前方へ向かう。その間、メイトはアスターンからベイト(通常はマレット)をはるか後方に流す。この状態でボートが大きな弧を描くと、ベイトは群れの目前を流れ、続いて水面が激しく爆発する。アングラーはまさに130Lbダクロンが切れんばかりの強さでフックアップしなければならない。 |
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毎年春になると、ガルフストリームに乗って巨大なブルーフィンツナの群れが北に向かって回游するのである。スキッパーたちはツナタワーの上に登り、まるで海面直下を進む潜水艦のような海面の盛り上がりを探すのだ。群れを発見すると、キャプテンはエンジンを唸らせて、回游進路の前方へ向かう。その間、メイトはアスターンからベイト(通常はマレット)をはるか後方に流す。この状態でボートが大きな弧を描くと、ベイトは群れの目前を流れ、続いて水面が激しく爆発する。アングラーはまさに130Lbダクロンが切れんばかりの強さでフックアップしなければならない。
サイトフィッシングにおける一連の楽しみは、他のビッグゲームフィッシングとはとても比べものにならない質を備えている。トローリングのスリルなど、遥かに超越しているはずだ。 |
| カポ・サン・ルーカスでポピュラーな ライブベイト・キャスティング法 サイトフィッシングのテクニックでもうひとつ有名なのは、メキシコのバハ・カリフォルニア半島の南端に位置するカボ・サン・ルーカス沖で特にポピュラーな方法である。それは発見したストライプト・マーリンにライブベイトをキャストするというもので、視界のよいバウデッキにはマッケレルを活かしておくためのライブウェルが備えつけられている。マーリンを発見すると、キャプテンがボートを走らせ、その間にアングラーはバウデッキで準備をする。そして魚に近づいたら、ベイトを振り子の要領でキャストするのである。シンカーなどは使わないが、エサが重い分、軽いルアーやベイトを投げるよりは楽にキャストできる。マーリンにしてみれば、生きたマッケレルが突然目の前に現れたのだから、食いつかないわけにはいかない。バイトがあっても、完全にベイトを口に入れるまでフリースプールにしておき、それからハンドルを2〜3回巻いてラインスラックを取り、リールのギアを入れる。ラインがピンと張ったら、ロッドティップを鋭く煽ってフックセットである。カボ・サン・ルーカスでは、同じ方法でソードフィッシュもキャッチしているようだ。 |
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フリージャンパーやダイブしてしまった魚には
フリースプールのスローシンク・テクニック 繰り返すが、サーフェスでビルフィッシュを見つけるにはシャープな目が必要だ。特に波立っている時には、とても見つけにくい。そこでお薦めしたいのが7Xのマリン・ビノキュラー(双眼鏡)の使用である。マーリンやセイルフィッシュの背ビレは暗く、海の色とは明確なコントラストがあるので分かりやすい。もしもまったくの凪ぎで、さざ波さえたっていないなら、ビルフィッシュが海面直下を泳ぐ時にできる微かな波でも見つけることができる。コスタリカやブラジルの沖でセイルフィッシュを探す時などは、最初の手掛かりは油を張ったように穏やかな海面にできるわずかな波である。ビノキュラーを使ってさらにチェックすると、セイルフィッシュの背ビレの先端が黒く見えるのだ。このように充分な距離をあけて見つけることができれば、ボートを大回りに回して、ラインを遠くまで出すだけの時間はたっぷりある。近づき過ぎて魚を潜らせてしまわないようにボートを回し、魚の目の前にベイトをトローリングするのである。 メキシコのマサトラン沖でもセイルフィッシュのサイトフィッシングが盛んだが、地元のキャプテンたちはしばしば誘惑に負けてサーフェスの魚を猛スピードで追いかけ回してしまう。当然、魚はパニックに陥り、迫り来るボートのエンジン音から逃れようとして下に潜ってしまう。こんな時は、そのままベイト(この場合はデッドベイト)をトローリングして、魚が浮いていた辺りに来たらフリースプールにしてベイトをゆっくり沈めてみるとよい。潜っていた魚たちがベイトを追いかけることがしばしばあるからだ。もしもバイトがあったら、ベイトを完全に口に入れさせるためにフリースプールのまましばらく待ち、それからフックセットすること。 |
| この方法はフリージャンパーを見かけたときにも有効で、ビルフィッシュがジャンプしていた辺りに来たら、そこへ同じようにベイトを沈める。この時数本のベイトを沈めていると、より深く沈んでいるベイトにヒットすることが多い。これはサーフェスの大きな船影を避けているためだろう。 実際にベイティングさせる前に、自分のトロフィーを見つけだすというスリルはなかなか他では味わえないものだ。この面白さを知ってしまうと、何マイルも盲滅法にトローリングすることが馬鹿らしくさえ思えてくる。ボーンフィッシングの楽しみをすべて味わえるだけでなく、それ以上の楽しみがきっとあるはずである。なにしろ、ビルフィッシャーの相手はボーンフィッシュよりも相当にデカイのだから! |
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筆者紹介/ドン・マン(Don Mann) アメリカのビッグゲーム・シーンを語る時には欠かせないライター&フォトグラファー。ただ傍観者として関わるのではなく、自らもロッドを握る。アメリカでは非常に名の知れたアングラーである。事実、すべての9ビルフィッシュを11カ月と1週間のうちにキャッチするという偉業を達成しており、IGFAに認定され、1989年のギネスブックにも名を残している。この記録は当ウェブで紹介したラス・ヘンズリーに破られるまで史上最短のものであった。また、37kg(80Lb)テストラインで810Lbのアトランティック・ブルーマーリンをキャッチしており、栄誉あるIGFA「10to1クラブ」入りを果たしている。共著に「Great Fishing Adventures」があり、「Marlin」「Fishing World」「Florida Sportsman」等に記事を連載している。 |