DON MANN
BIG GAME TECHNIQUES & TIPS

ドン・マンのビッグゲーム・テクニック(10)

Strip for Action


アーティフィシャルの
ストリップベイトが
市場を賑わしはじめた今
ストリップベイトの効果を見直す

写真・文/ドン・マン
訳/近藤鶴三

バリフーリグをはじめとしてデッドベイトをトローリングに使うという習慣が日本には少ない。ましてや巧みなフィレナイフさばきが要求されるストリップベイトは論外だ。たしかにストリップベイトには欠点も多い。まずベイトを釣らなければならないし、船上を血だらけにして切らなければならない。リギングも面倒だし、保存には冷蔵庫が必要だ。もっともこういった欠点はアメリカ人も気づいているらしく、向こうでもストリップベイトは過去の遺物となりつつある。ところが、そのストリップベイトがここへきて俄かに注目を集め始めているのだ。なぜか。秘密はアーティフィシャル(人工)商品の充実にある。今回はストリップベイトの最新情報に迫った!


魚の切り身を用いた天然素材のストリップベイト。スカートと組み合わせることで、水圧によるベイトの傷みを軽減できる。

ストリップベイトは果たして過去の遺物か!?

 元気のいい大型のシイラや肥ったツナをランディングした時、いつも私はジュージューと焼けるシイラのフィレや厚いツナ肉のステーキの香ばしい匂いを思い浮かべてしまう。ましてや、それらの魚たちをベイトとして、それもストリップベイトとして使おうなどとは決して思わない。とはいえ、昔からそうだったというわけではない。
 かつてはオフショアのゲームフィッシングにおいて、ストリップベイトはもっともポピュラーなベイトであった。カツオ、ツナ、シイラなどが釣れると、すぐに腹部の肉を銀色の切り身にしたもので、今のようにすぐにクーラーに入れてしまうことなど滅多になかったものだ。
 流線型をした魚の形に慎重にトリミングされたストリップベイトにはフックが刺し貫かれ(ストリップベイトはフックの全長をスッポリ覆うくらいの長さだ)、次にフックアイの部分にワイヤーリーダーで留められる。ワイヤーリーダーとフックアイはヘイワイヤーツイスト(ノットの種類、当ウェブ内『フィッシングノット』参照)で接続するが、その時にワイヤーの端を切らずにそのまま残しておき、安全ピンのように開け閉じできるように曲げておく。ストリップベイトはこの安全ピンの部分で固定するわけである。
 ストリップベイトのトローリングは、ホールリグド・ベイト(切らずに1尾そのままを使うリグ)のやり方と同じであり、ストライクした魚がビルフィッシュであっても必ずフリースプールのドロップバックを与える。ストリップベイトは、ホールベイトよりホッソリしているため、後者よりもヒラヒラとよく動いてスプラッシュをたてやすく、その誘惑的な動きには、いかなるゲームフィッシュといえども、ついガブリと食らいついてしまうのである。

ドルフィン(シイラ)はビルフィッシュにとっても人間にとっても最高のランチ! ストリップベイトにはもってこいの魚だ。特に柔らかなベリー(腹部)を使ったストリップは、カラー、アクションともにアピール力が高い。


トリミングされたバラクーダのストリップベイト。ナチュラルベイトの場合、当然ながらトリミングして形を整えなければならない。たしかに面倒くさいと言えば面倒だ。さらに、保存には冷蔵庫が不可欠となれば、ルアー一辺倒になってしまうのも仕方がない。ナチュラルベイトによるストリップベイト人気が衰えたのも、このあたりが原因。







シイラのベリー(腹部)を用いたストリップベイトのトリミング作業。手間がかかるとはいえ、ストリップベイトの効果はあなどれない。この効果をそのままに、面倒な作業からアングラーを解放したのがアーティフィシャルのストリップベイト。
簡単! 長持ち! アーティフィシャル・ストリップベイトが登場

 さらに最近私はエクアドル釣行においてストリップベイトの有効性に再び気づかされた。マンタ港の南西30マイルで釣りをしていた時だった。小型のシイラが自殺でもするようにマーリンフックに自ら突き刺さってきたのである。私は「お昼のオカズ」にいいなァと思ったが、ボートクルーは別のアイデアを持っていた。彼は器用にシイラの腹部を幅広く切り取ると、慎重に流線型にトリミングして、その端を外科的正確さで斜めにカットした。それから、12/0のマーリンフックをセットして、すでにボート後方に流していたホールバリフーのデッドベイトのド真ん中に流したのである。
 1時間もしないうちに、巨大なブラックマーリンがヒラヒラするストリップベイトを確かめるように姿を現わしたが、ヒットはしなかった。その数分後、300Lbくらいのブルーマーリンがストリップベイトの後ろに姿を見せ、ガブリと食らいついたのである。素早くフックアップした私は、その日、最初のブルーを仕留めることができたのである。

ソフトプラスティック素材を使用したアーティフィシャル・ストリップベイト。フロントにバブラー(泡出し効果のあるヘッド)をセットしてアピール力を高めている。

 また、トローリング時の水圧下にあっても、ストリップベイトが1尾全体を使ったバリフーベイトよりも長持ちしたことは注目に値する。その理由は明らかである。シイラの魚皮はバリフーよりずっと硬いからである。とはいえ、そのような優位点があるにもかかわらず、今日、ストリップベイトは以前のように頻繁には使われなくなってしまった。ところが、この5年ほどの間に、ストリップベイトは再び熱心なフィッシャーマンの関心を呼び起こしつつある。その主な理由は、アーティフィシャル(人工)のストリップベイトが市場に出回りだしたことである。
 このようなアーティフィシャル・ベイトはそのまま単体で用いたり、あるいはフェザージグやスカート、小型のバブラーやフラットヘッドルアーなどと組み合わせる方法があるため、今やオフショアのフィッシングシーンにおいて、評価を再構築しつつある。
 ここで、日本のオフショアアングラーのために、今人気の高いプラスティック・ストリップベイトをいくつか紹介しておくことにしよう。まずAccetta社の「Belly Strip」、「Turbo Teaser Strip」、Mann社の「Jelly Hoo」、Moldcraft社の「Stripper」などなど。また、天然素材を使ったストリップベイトとしては、Uncle Josh社の「10 "Pork Belly Strip」やArbogast社の「Dry Rind」、Cotee社の「Bait Strip」などがある。
 なかでもポークリンド・ストリップはもっとも耐久性があり、すでに長年にわたってアングラーたちに親しまれている。使用法としてはトローリングジグのティッピング(飾り)がもっとも頻繁だが、単体でストリップベイトとしても使用され、特にカラースカートとの組み合わせによって非常に魅力的なものとなる。
 Arbogast社の最新ストリップベイト製品は、皮つきのドライ・ラムウールで作られている。耐久性は非常に高いが、かさばり、長さが短かめなので、単体で用いるよりも、フェザージグや他のルアーのティッピングとして使用したほうがより現実的である。

 一方、Cotee社の新製品は、ダウンリガーやプラナー(潜行板の一種)を使ったディープトローリング用、あるいはサーフェスベイトとして特別にデザインされたものだ。サイズも全長8インチあり、セイルフィッシュやマーリンをはじめ、ワフー、ツナ、シイラなどに有効である。店頭では一箱単位で販売されていて、中には6枚のストリップが入っている。これらのストリップは単体でも、あるいはスカートやルアーと組み合わせても用いることができる。また、Cotee社では、すでにリグ済みのストリップも販売していて、100Lbテストのモノフィラメントリーダー30ftと、8/0のマスタッドフックが2本、そしてストリップの前端を固定する1/0のノーズフックが1本。他にはSanpoのスナップスイベルと交換用のストリップが入っている。
 なお、このリグでビルフィッシュを狙う場合は、ザラザラしたビルによる傷みを防ぐために、リーダーをもっと太いモノフィラメントに交換しておくことをお薦めする。また、Cotee社のストリップには、スクイッド(イカ)、マレット(ボラ)、マッケレル(アジ)……等々、各種の「匂い」がついたものや、様々なカラーリングが施されたものも揃えられている。

ライブベイトとして多用されるツナ類(写真はスマ)だが、やはりベリーをストリップベイトにしても効果的。ストリップベイトの利点のひとつは、硬くなったデッドフィッシュでも使えるというところだ。

ストリップベイト新時代の到来!?

 圧縮加工品から作られたストリップベイトは、植物性の染料で簡単に染められるようにできており、もしそうしたければ、アングラーは天然染料を使って自分の好きな色に染めることさえできる。圧縮魚肉加工品であるこのようなストリップベイトは、ポリマー加工や布地によって強化され、トローリング時に強い水圧を受けてもそう簡単には身崩れを起こさないように作られている。これはディープトローリングの際には特に有利である。もちろん、自然に分解する有機化合物なので、魚や海にとっても害はない。
 アーティフィシャル・ストリップベイトは天然のものとほとんど同じようにリグすることができる。その上、天然とは違い、カットしてストリップを作る必要がない。また、タックルボックスに容易に収められるほど小型であり、冷蔵庫に保存しておく必要もない。そして、ベイトフィッシュの確保が困難な場合や、あるいはそれらの身が柔らかすぎてアッという間に身崩れを起こしてしまう場合などにも、アーティフィシャル・ストリップベイトは非常に有効なのである。

アーティフィシャル・ストリップベイトの登場は革命をもたらした。写真は各種リギング(仕掛け)。左端と中央は単体、左から2番目と右から2番目はフェザージグとの組み合わせ、右端は小型のスカートを付けたもの。


最近になって続々と発売された各メーカーのアーティフィシャル・ストリップベイト。素材は様々で、魚肉を圧縮加工したものや、ソフトプラスティックを用いたもの、あるいはポークリンド(ブタ皮)など。
 エキスパート・アングラーの中には、天然、人工どちらのストリップベイトにも、スティフリグのやり方を好む人も多い。スティフリグの作り方はバリフーリグと同じで、まずフックアイにワイヤーを通し、次にフックシャンクのところで1回ひねってから、またフックアイのほうへ戻す。戻したワイヤーの末端をメインワイヤーに巻いていきフックアイに固定する。それから、ストリップの前端部にワイヤーを突き刺すのである。
 この時、ストリップ前端部の中心にワイヤーを刺すことが重要で、先ほどのセイフティーピンリグとは違って、このやり方ではストリップはしっかりとリーダーに固定される。ワイヤーで固定されたストリップは、その上さらに短く切ったリギング用の柔らかな銅線でしっかりと固定される。

 いずれの場合においても、ストリップの前端部がしっかりとフックアイに結ばれているということを確認しておくことが重要である。しっかりと結ばれてさえいれば、トローリング中に受ける水圧によってストリップが外れてしまうこともない。
 また、モノフィラメントリーダーを使用する場合にも前述した原則が適用される。この場合は、ストリップの前端部に穴を開け、そこに通した銅線をフックアイにしっかり結わえ付ければよいのである。
 ストリップのタイプやリギング方法は多様だが、いずれの場合も、ストリップは真っ直ぐにセットされ、自由にヒラヒラと動くようでなければならない。それは、サーフェスでスプラッシュを上げる時も、水面直下でも、あるいはダウンリガーやプラナーによって深場をトローリングする場合も同様である。
 今や、我々はストリップベイトに対して新しい視点を持つべきである。それらは幾多のアドバンテージをもたらす。そして何よりも重要なのは、よく釣れるということである。

筆者紹介/ドン・マン(Don Mann)
アメリカのビッグゲーム・シーンを語る時には欠かせないライター&フォトグラファー。ただ傍観者として関わるのではなく、自らもロッドを握る。アメリカでは非常に名の知れたアングラーである。事実、すべての9ビルフィッシュを11カ月と1週間のうちにキャッチするという偉業を達成しており、IGFAに認定され、1989年のギネスブックにも名を残している。この記録は当ウェブで紹介したラス・ヘンズリーに破られるまで史上最短のものであった。また、37kg(80Lb)テストラインで810Lbのアトランティック・ブルーマーリンをキャッチしており、栄誉あるIGFA「10to1クラブ」入りを果たしている。共著に「Great Fishing Adventures」があり、「Marlin」「Fishing World」「Florida Sportsman」等に記事を連載している。


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