DOWNRIGGERS FOR BILLFISH

ダウンリガー・
ライブベイティングで
ビルフィッシュを狙う!

コナのキャプテン、ピーター・ホッジスと
フレディー・ライスのマル
テク

By Capt. Rick Gaffney
Translation/Tsuruzo Kondo


ハワイ島カイルア・コナのチャーターボートがライブベイティングによって釣果を上げているのは周知の通りであるが、実はダウンリガーが多用されているという事実は意外に知られていない。ダウンリガーを使用したディープレンジでのライブベイティングは、実際かなりの成功を収めており、ビルフィッシングにまったく新しい次元を開きつつある。そこで、今回はコナを代表する腕利きキャプテンであるピーター・ホッジスとフレディー・ライスのダウンリガー・ベイティングを比較研究してみた。

3次元の攻めを可能にする
ダウンリガー

 その名を世界に知られたビルフィッシャーに、なぜダウンリガーを使うのか尋ねてみれば、彼らは異口同音にこう答えるはずだ。ディープレンジでのトローリングは、ビルフィッシングにまったく新しい次元をもたらすからだ、と。
「ディープレンジを泳ぐビルフィッシュは、海面近くをトローリングするベイトには目もくれないのかもしれない」と語るのは、ハワイ島で最も釣果を上げているチャーターボート・キャプテンの1人、ピーター・ホッジスである。「だから、まったく異なる2つの深度をカバーするのは、実に理に適ったことなのさ!」
 ホッジスは「Cannon」社製の電動式ダウンリガーを使用しているが、彼自身の釣り方にマッチするよう、ラインリリースに若干の工夫をしている。


 その工夫とは、ウエイトのリリースクリップを取り外し、その代わりに130Lbテストのダクロンライン(黒色)とラバーバンド(輪ゴム)を用いるというものだ(上イラスト参照)。ラバーバンドをラインに8回程度巻きつけ、一方の端をもう一方の端の輪の中に通して、ラインが滑らないように固定する。そして、ウエイトから伸びているダクロンラインにラバーバンドをスリップノットで結ぶのである。

 ホッジスと同じく、ハワイ島のライブベイト・スペシャリストであるフレディー・ライスは、好条件にもかかわらずサーフェスのベイトに何の反応もない時、ダウンリガーを使用するという。ハワイの大部分のプロたちがそうするように、彼もまたライブベイトが1尾以上確保できた時にはたいていダウンリガーを使っているようだ。
「ベイトフィッシュがたくさんいて、潮や水温もよく、同じエリアに多くのボートが集まっているような時でさえ、まったくバイトがないこともある」と、ライスは言う。「ダウンリガーを使うのは、まさにそんな時なんだよ」。
 ハワイのこの両キャプテンをはじめ、各地のスペシャリストたちも、1尾だけトローリングするよりも、数尾のライブベイトをトローリングして、スクール(群れ)のように見せたほうがずっと効果的であることを認識し始めている。しかし、2尾以上のライブベイトをサーフェスでトローリングすると、ラインが絡み合ったり、1尾のマーリンが複数のベイトにストライクしたりすることがある。だが、ダウンリガーを使ってトローリング深度を変えてやれば、そのような事故を防止し、かつ異なる深度を効果的に探ることができるのである。

 ダウンリガーを使っているスペシャリストたちは、その効果と使いやすさに関しては誰もが認めているが、どの深さを釣るべきかについてはなぜか議論しない。もしも魚探にベイトのスクールやマーリンの影が映っていれば、可能な限りその深度に合わせてダウンリガーを下ろすことになる。だが、魚探に何も映らなければ、適当な深さまで沈めてみるのが常だ。しかし、エキスパートたちはそれでもコンスタントな釣果を上げている。

 ピーター・ホッジスは、マーリンが深い層にいることが分かっている場合を別にして、50〜60ft(15〜18m)より深くにウエイトを沈めない。一方、フレディー・ライスはその3倍に当たる150ft(45m)まで沈めて、トローリングすることが多いのである。

ピーター・ホッジスとフレディー・ライス
2つのダウンリガー・テクニック

 ピーター・ホッジス流のダウンリガー・テクニックは、まずベイトを選ぶことから始まる。ディープレンジ用のライブベイトとして、彼は小型のスキップジャックを好んで使っている。その理由は、小型のスキップジャックであれば同時にイエローフィンツナも狙え、また活発に泳ぐ大型のベイトに比べてダウンリガーのケーブルやウエイトに絡まることが少ないからである。
 リギングしたスキップジャックは、約25〜30ヒロ(サーフェスで流す場合よりも約10ヒロ短い)のセットバック(ウエイトからベイトまでの距離のこと)を取った上でラバーバンドに結ばれ、ウエイトにセットしたタグラインと接続される。そしてウエイトを約10ヒロ(15〜18m)の深さまで沈め、ラインを適当にドロップバックさせてから、ヒットを待つのである。この場合、ドロップバックしていたラインが張り始めることによってヒットを判断することになる。


 一方、フレディー・ライスは、深みで何が起きているかを知るために、カーウィン・マスナガ(ベテランの漁師で、地元トーナメントでの優勝経験を持つ)に習ったテクニックを用いている。
 このテクニックのユニークな点は、ライブベイト・フィッシングの一般的な流儀であるラインのドロップバックを取らないことである。ラバーバンドのリリースから、アウトリガー中ほどのリリースクリップまで、ラインはほとんど弛まずにまっすぐ伸びている。この方法は、150ft(45m)もの深さから伝わってくるアクションに対して、通常の方法よりずっと敏感な反応を得ることができるのだ。海中のラバーバンドが切れると、まずラインの角度が変化する。アウトリガーのクリップがマーリンの重さによってリリースされるのは、その後である。


 このマスナガ・メソッドを用いることによって、ライスはマーリンがヒットしていることをいち早く知り、ストライクへの準備体勢が取れるようになったということである。さらに、150ft(45m)のディープレンジにおけるヒットに対して、完全なフッキングを行なえる確率が大幅に高まったのである。また、アングラーがファイトに入る前にダウンリガーを巻き上げ、片づけてしまうことも可能である。
 その後、アウトリガーのクリップがラインをリリースし、ロッドティップからラインが張りつめ、アングラーがファイト体勢に入ったのを見てから、ライスはフッキングのためにゴーをかける。またはチェアからのファイトがしやすいようにボートを動かすのである。

テクノロジー導入による
更なる可能性

 ダウンリガーによるビルフィッシングの対象魚は、なにもパシフィック・ブルーマーリンだけではない。カリフォルニアやニュージーランドのベイ・オブ・アイランズ、グレートバリアリーフ、さらにはモーリシャスの豊かな海域に至るまで、ダウンリガーライブベイティングによって多くのブラックマーリンやストライプト・マーリンがキャッチされている。さらには大西洋においても、セイルフィッシュやホワイトマーリンを初め、最大級のアトランティック・ブルーマーリンまでもが、この方法でキャッチされているのだ。

 また、最近のダウンリガーには驚くほどのテクノロジーが投入されている。ウエイトに取りつけたセンサーによって、沈めた深度の水温をオンタイムで知ることができ、さらにはトランスデューサーを通してウエイト周辺の魚影をも確認できるのである。
 
通常のサーフェストローリングでは、左右遠近の2次元方向でしか探れない。だが、ダウンリガーを使用すれば。左右遠近に深度という新たな要素を加えることができる。楽しみの幅を広げる上でも、ぜひ挑戦してみたいテクニックである。

 ダウンリガーフィッシングの限界は、この釣り方に対するスキッパーとアングラーの技術が習熟した時にこそ判明するはずである。しかし、現時点でハッキリ言えることは、ダウンリガーがビルフィッシングにまったく新しい次元を開きつつあるということだ。


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