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あれがありこれがあって今夏より、夢再びというか、性懲りも無く、スポーツフィッシング誌の創刊に関わることと相成った。釣りやボートの業界に追い風が吹いているわけでもなく、捨てる神の後に拾う神が現れたわけでもない。発行元のネコ・パブリッシングがこの六月からオープンするという趣味の総合ポータルウェブサイト『ホビダス』の誕生やらとリンクして、なにやら面白い展開ができそうだという確信から、慌しい船出と相成ったわけである。 雑誌や書籍といった紙媒体は目下、年間千軒を越す町の書店の倒産や閉鎖、さらに流通システムやメディアの多様化の中でえらく難儀な展開を余儀なくされている。そんな状況の中で、紙媒体の持つ風合いや信頼感とデジタルコンテンツの同時性と即時性をうまくコラボレイトさせることが出来れば、情報の性格に合わせて的確なプレゼンテーションが可能となる。 新雑誌の基本コンセプトは、私が常々想い、考え巡らしてきたこと、ズバリそのものである。このコラムの中でも度々書いてきたことではあるが再度、新雑誌の船出にあたりここに記してみたい。 |
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「釣り場を取り巻く状況が閉塞的になりつつある中で、私たちは新しい釣り雑誌を創刊することの意義を考えて参りました。釣魚の保護・育成という言葉は、魚を釣るという行為とは明らかに矛盾するものですが、百歩譲って単純な自然保護論者に我が身を喩えてみれば、とにもかくにも釣り竿を手放し、フィッシュ・ウォッチングのみに徹すればよいようにも思えましたが、どうもそれは私たちにとってベストの選択とは思えませんでした。つまり、人は感動に生きる存在であり、全神経を使った魚との対峙、同時に多くの満足や後悔、その矛盾の中にどっぷりと身を浸してこそ、初めて魚(自然)を知ることができると考えました。ただ時代と共に、アングラーにもスタイルの変化と責任が求められる必然も私たちは理解しています。それに応えるために、アングラーはどういうスタンスで魚と対峙しなければならないのか?それはアングラーのみならず、この世界に関わるすべての企業にも問われていることだと思われます。私たちは“全ての人々が釣ろうと思えば釣れる状況”を少しでも取り戻すために、好奇心旺盛な目と、スポーツ・マインドとジェントルマン・シップ溢れる心を持った次世代アングラーの輪を広げられればと願っております」。 そして、この編集部の基本コンセプトに対して発行元であるネコ・パブリッシングの笹本社長は、同誌の媒体資料で次のように応えている。 「さて私ども『ネコ・パブリッシング』では、今夏より新しい隔月誌を出版メニューに加えることと相成りました。御存知のように当社は様々な趣味の月刊誌を軸として、多くの出版物を書籍シリーズもしくはムックで発行いたしておりますが、此の度の創刊は、高まる海のスポーツフィッシング・ファンの新たな要望に応えるためと、永年のリサーチによる新しいコンセプトの雑誌創りにチャレンジすることにあります。それは当社の趣味の総合ポータル・ウェブサイト『ホビダス』を更に充実させると同時に、スポーツフィッシングの領域にウェブサイトより船出するための大きなチャレンジでもあります。新雑誌におきましては、ただ釣法と釣果、釣り場を紹介するだけでなく、フィールドの保全を念頭におきつつ、フィッシング・ギアとしてのボート、新しい時代に相応しい釣魚とアングラーの関わり、そして最終的には如何に感動に溢れた愉しい釣りを実現するかということに尽きるわけですが、それらをより広い視野で眺められる雑誌にしたいと考えます。釣り場で出会う様々な人々とのふれあいを大切にしつつ、私どもの愛する釣りの愉しみを、この先末代までも語り繋げていくためには、この世界に関わる全ての方々が、環境と釣魚の保全についても思いを致す必要があるかと存じます。そういう意味で、今夏よりスタート致します新雑誌は、活字とウェブの、双方の力を存分に活用し、スポーツフィッシング誌のスタイルを装った、水辺と人々との交歓の場にできればと願っております。私どもの新しい船出に温かい御支援をいただけますように…」。 雑誌創りは編集サイドと発売サイド双方のコラボレーションと、意欲的なアプローチが成されてこそ面白い。 電話機の発明で広く知られるアレキサンダー・グラハム・ベルの義理の父であったガーディナー・グリーン・ハバードが初代理事長を務めていたナショナル ジオグラフィック協会は、その発行する媒体でつとに有名である。1888年1月に同協会は設立され、同10月に創刊された「ナショナル ジオグラフィック」誌ではあったが、1897年にハバードが亡くなり、彼の娘婿だったベルが同協会の二代目理事長に選ばれた。破産寸前だった同協会と、その発行する雑誌を立て直すためにベルは、やがて自身の娘婿となるギルバート・ハビー・グロブナーを編集長として迎え入れた。そしてビジュアルな誌面構成に務め、着実に協会をサポートする会員を増やす中で、ベルが語った幾つかの言葉がある。 |
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「世界の森羅万象が、この雑誌のテーマとなる。普通の人々が興味を持つ事柄を見つけ出せないのなら、この仕事からは手を引くべきだ」と語ったその言葉を、私たちは座右の銘としたい。 たかが釣り雑誌ではあるが、スポーツフィッシングの森羅万象が私たちのテーマではある。編集部は驕ることなく普通の人々が興味を持つこの分野のさまざまなテーマを水辺で見つけ出せなければ、私たちの航海は失敗に終わる。 海はベタ凪、準備万端、燃料も食料も満載した豪華客船の船出とは対極の、まさに“冒険”とでも呼ぶに相応しいスタートではあるが、これこそ人生のスリルではある。 誌名は『スポーツアングラー』となる。 |
| (『パーフェクトボート』(ネコパブリッシング)掲載分より) |