WHAT'S THE SPORT FISHING BOAT?
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| Fig.1のインボードは、多少の違いこそあれ、通常ミッドシップに配される。これは2基掛けでも1基掛けでも、概ねこんなもの。その結果、船尾コックピットはソール(床)も十分に低く、しかも遮るものがない。実に理想的なフィッシングのステージとなりうるのだが、なんといっても、ミッドシップにエンジンボックスが張り出してしまう。この図のようなフネの場合は、エンジンボックスの上をヘルムステーションにしてしまえばいいわけで、それはそれでかたが付くのだが、もしも、キャビンを作ろうということにでもなると、なんともエンジンが邪魔になる(それについては次の項で説明)。航走性能からいっても、エンジンがミッドシップにあるから、船尾側が軽く、ハンプからプレーニングに入るときは楽だが、高速を出すとどんどんと滑走の主体が船尾側に移っていくにもかかわらず、重心は前側にあるという、あまり面白くない状態になる。 |
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| そういった航走能力の面ではスターンドライブが有利だ。フネが高速になると、バウ側は浮き上がり、フネの重さは船尾側の船底で受ける揚力に支えられる。スターンドライブはそこに重量のあるエンジンが置かれているわけだから、高速時の安定性という面からはこちらの方が有利だ。しかし、Fig.2を見ても分かるように、コックピットの船尾側はエンジンボックスに占領され、これがなんとも邪魔になる。高性能エンジンから、燃費のいいディーゼルエンジンまで用意されているスターンドライブだが、ことフィッシングということになると、どうしてもスペース的に不利になってしまうわけだ。 |
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| Fig.3は、アウトボードのケース。最近はアウトブラケットが多くなってきたが、それについては後述するとして、このエンジンのメリットは、なんといってもコンパクトなことである。ただし、そのコンパクトなボディから大きなパワーを得るために、ほとんどは2ストローク。それを5000rpmもの回転数で回すことになるため、カッ飛ばすと急激に燃費が落ちるのと、低速時でもカンカン・バラバラという音は気になる。 小型インボード艇のキャビン オープンスタイルのスポーツフィッシャーマンはだいたい前項で触れたとおりだが、デッキハウスがあり、その中にキャビンを設けるとなるとちょっと事情が変わってくる。特にインボード艇の場合、ミッドシップにエンジンルームがあるため、それをどう避けるかが問題になる。もちろん、フネが大きければ、エンジンルームの上にデッキハウスを作って、サロンの床下にエンジン、という方式でかまわないわけだが、せいぜい30フィート内外のクラスでそれをやろうとすると、フネが妙にのっぽになってしまうのだ。 しかし実際には30フッタークラスのフライブリッジ付きインボード・モデルは、いくらでもある。希代の名艇、バートラム31がそうだし、同社には28もある。ブラックフィン29やフェニックス29もそうだ。 |
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| こういったフネは、実はエンジンルームの前方にデッキハウスを設けているのである。まず、エンジンを出来るだけ低く、しかも後にセッティングする。とはいっても、エンジンからつながるプロペラシャフトがボトムから適当な角度で水中に出ていないといけないわけだから、そうそう後方にエンジンを据えるわけにはいかない。で、こういうときは、エンジンとプロペラシャフトの間に入るマリンギア(要するにトランスミッション。減速歯車のこと)をアングルド・ギアといって、エンジンのクランク軸よりもさらに下向きに角度が付いているタイプにする。フネによってはキャビンに半分エンジンを食い込ませ、その上にソファなどを作って隠しているものも少なくない(Fig.4)。 |
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| さらにプロペラシャフトの角度を適正に保つ方法としては、プロペラポケットというものがある。これはボトムにプロペラを収めるトンネル状の造作を作ってしまうという方法で、エンジンを低く、水平近く据え付けるのに効果的だ(Fig.5)。プロペラシャフトの角度にさらにこだわるならば、Vドライブという方式もある。これはエンジンからの出力を一度前方へ出し、ここにギアを置いて折り返すという方法。フネの重心位置を適正に保ちながら、なおかつプロペラシャフトの角度を適性に出来るわけだが、最近は一部の小型艇にしか使われていない。むしろ、大型艇が重心位置補正やキャビンスペース確保を目的として、エンジンをでるだけ後方に設置するために使われるケースが多い(Fig.6)。 |
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| スターンドライブとキャビン キャビンの広さを第一の目的とするならば、スターンドライブの方が有利である。もちろん、アウトボードという手もあるが、アウトボードのフライブリッジ艇というのは非常に希(まったく存在しないわけではない)だし、基本的にはエンジンを一番船尾にぶらさげるだけだから、アレンジはなんとでもなる。というわけで、スターンドライブに話を戻すことにする。 なにしろ、スターンドライブのエンジンは船尾にべったりと寄せてあるのが普通(エンジンとドライブユニットを中間軸で結んだものもあるが)なので、その部分を除けば、船殻のすべてをキャビンとして使うことさえ可能なのだ。だから、国産艇、輸入艇を問わず30フッター程度で、キャビンの居住性を重視したフネは、ほとんどがスターンドライブを採用することになる。 しかし、フィッシングということになると、そう簡単にはいかない。前項でも述べたように、コックピットの床をフィッシングに最適な高さ(というか低さというか)に設定すると、スターンドライブはエンジンボックスが突出してしまう。2基掛けならば、2基のエンジンでほぼビーム一杯となるだろうから、コックピットのスターン側に段差が付き、そこだけ浅いという、実に使いにくいスタイルとなってしまう。 コックピットをとにかく平らにすることを考えると、エンジンの上の高さでソール(床)を張るしかない。そうすると、水面からはかなり高い位置にあるコックピットとなる。もちろん、そこから人が転げ落ちるようではコックピットとして使えないが、だからといって、フネ全体のフリーボード(乾舷。水面からデッキまでの高さ)をむやみやたらに高くするわけにもいかない。その結果、どうしてもコックピットは浅くなり、それを補うべく、周囲にグラブレールを設置したりすることになる。Fig.7はエンジンをコックピットの下に収めた、スターンドライブ艇の概念的なモデルだが、ここまで極端でなくとも、この種のフネは多かれ少なかれ、こういった造りになってしまうわけだ。 |
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| スターンドライブというのは、さまざまな面で高速滑走艇にとって、非常に優れたパワーユニットだし、小型のフライブリッジ艇などではキャビンスペースの確保にも役立つものだが、ことフィッシングとなると、どうしてもコックピットの高さが問題になってしまうのである。 |
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| 小型軽量のアウトボード アウトボードエンジンというのは、とにもかくにも、ボートを動かすのに必要なすべてが(もちろん燃料は別だが)一体化している。エンジンンがあり、トランスミッションがあり、さらにプロペラが付いている。それを、まんま操向して、フネをコントロールしようというのだから、重さが1トンも2トンもあったのでは困るし、嵩がやたらにあっても困る。だから、アウトボードエンジンは、とにかく軽く、しかも嵩張らないというのが、大前提となるのだ。 現在、通常のボートに使われているアウトボードエンジンには300馬力のV8まである。しかし、軽量小型を旨とするエンジンだから、ごく一部を除いてすべてが2ストローク。当然、トルクよりも回転数で馬力を稼ぐタイプだから、そのV8でも5500rpmも回ってしまう。それでも重さは280kg強。同馬力のスターンドライブ・ユニットが500kgを軽く超えていることを考えれば、非常に軽量ということができるだろう。 軽量小型は、フィッシングのためのスペースを広く取りたいボートにとって、非常に重要である。しかも、アウトボードというくらいで、舷外に取り付けられるわけだから、コックピットにエンジンボックスが突出することもない。実に便利な存在なのである。そこで、その便利な存在をさらに便利に使うため、さまざまな工夫がされてきた。 スポーツフィッシングのためのボートに限らず、昔から行われてきた“普通”の方法というのがFig.8のトランサムへの直付けである。もちろん、ある程度の大きさのフネになると、エンジン取り付け部自体はかなり低いから、その前方に船尾から打ち込む水を受けるためのモーターウェルが必要になるが、トランサムとの関係は変わらない。 |
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| 同じ直付けでも、Fig.8の右下の写真のようなものは、最もスペースを取らない方法として、フィッシングボート(ただし、輸入艇)には多く使われている。後述するアウトブラケットだと、コックピット自体は広々と使うことが出来るが、どうしてもエンジンは船尾にかなり突出せざるを得ない。ゲームとファイト中、相手が船尾側にきてしまうと、突出しているエンジンが邪魔になる。そこで、こういったスタイルが採用されているのである。モーターウェルは最小限で、エンジンをチルトアップするときはコックピット側のボードを倒すようになっている。 |
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| アウトブラケット新時代 コックピットの広さということだけを考えたなら、これはもう、エンジンを完全に外に追い出したアウトブラケットが一番である。当初は、Fig.9のような、トランサムに後で取り付けるようなスタイルで、材質も全アルミ製。パイプ組みのようなものも市販されていた。この種のブラケットの利点は、とにかくどんなフネでもアウトボード仕様にできるということで、器用な人はもともとインボードだったフネをエンジンの寿命を期に、自分でアウトボードに改装するというようなこともけっこうあったようである。 アウトブラケットの利点は、単にエンジンをフネの外に追い出せるという、スペース効率上の問題だけではない。トランサムからエンジン(正確にはプロペラを)を遠ざけることにより、滑走時の抵抗を減少させるということもできるのだ。 |
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| フネが滑走しているとき、ボトムの下を通ってきた水は、フネを押し上げ、トランサムで開放される。しかし、トランサムから離れた直後はしばらくそのまま高速で流れ、すこししてからグアッと盛り上がる。アウトブラケットによってエンジンがトランサムから離されていると、少なくともトランサム直後よりは、この盛り上がった水流の中にプロペラを置くことができるため、よりプロペラの深度を浅く設定でき、航走抵抗も少なくて済むし、プロペラ自体も浅い水深で回ることになるから負荷も少ないということになる。つまり、アウトブラケットを使えば、より効率の良い走りが出来るというわけだ。そのため、ブラケットの下面をうまく形成し、トランサムから離れた水流を上手にプロペラに導くような工夫もされるようになった。 これをさらに進めたのがFig.10のハルと一体成形のブラケットである。ブラケット下面は通常の滑走時の他、プレーニングにいたるまでのハンプを越えるのに適切な揚力を生み出すような形状となり、上面は船尾のプラットフォームを兼ねるようになった。船外機とブラケットのシステムは、まだまだ進化しつづけているのである。 |
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| フィッシングボートのエンジンというのは、航走性能だけを考えればいいというものではない。スペース効率なども十分に検討したうえで決定されなければ、そのボートが本来の目的から離れた性格を備えてしまうおそれさえある。難しいものなのだ。 |
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8. スポーツフィッシング・ボート |