WHAT'S THE SPORT FISHING BOAT?
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| コックピットの造り デッキに作られた凹状の場所がコックピットだといっても程度は種々あるわけだが、アチラの用語辞典は、“a well or sunken”という表現をしている。 wellは井戸とか井戸状の造作で、フィッシュウェル(fishwell)のwellもそれ。sunkenはsinkの昔のスタイルの過去分詞(今は形容詞として使われる)で、水没したとか沈下したとかの意。目が落ちくぼんだ状態などもsunken eyesなどと言うから、けっこうゴボッと沈む感じ。 フネの造作の一部で“水没した”とかいうことになると、また意味が変わってしまうから、それはないとしても、デッキからは相当に低められた場所ということになる。つまり、コックピットというのはデッキの一種ではなく、デッキに設けられた、ある種の開口部と考えたほうが分かりやすい。当然、開口部なのだから、小型艇ではその底は船底だが、それでは人間がそこで過ごすのに都合が良くないから床を作る。この床はソール(sole)と呼ばれるのが普通。“底”に設けられた床なので、感覚的にも分かるような気がする。小型艇の場合、キャビンの床も同様な位置付けなので本来はソールである。 Fig.1は小型艇の構造を概念的に示したもので、Fig.2はそれをバラしたところ(というか、組み立てるところというか)である。もちろん、実際のフネは、単純化して一体成形としてある部分もあるし、逆に、もっと複雑な組み合わせとなっている部分もあるが、概ね、こんなものだと思っていただいてかまわない。 |
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デッキに設けられた四角い開口部がコックピットで、その下に設けられている床がコックピットソール。このソールはハルに取り付けられたフレームに設けられている。実際のフネでは、ソールにハッチを設けて、その中をストレージやフィッシュボックスにしたりしているわけだ。 最近の小型艇の中には、デッキからコックピットソールまでをバスタブのようなスタイルで一体成形としているものもあって、そういうフネだと、ハルが1発成形、デッキからコックピットも1発成形、強度部材として入れられるストリンガー(縦貫材)やフレームを除くと、2個の大きなパーツのみというものもある。FRPのフネというのは、基本的に大きなプラスチックモデルなのだから、これは当然かもしれない。 |
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| 機能的な造作と装備 フィッシング向きに作られたボート、それもアンダー30フッターの、比較的小型のものでは、船上のスペースも限られるし、やたらとフネを重くするというわけにもいかない。大きなモデルならば、フィッシングに必要となりそうな装備を片っ端から選んで取り付けることが可能だし、その方法にしても、場所にしても、それなりの自由度があるが、小型艇でそれをやってしまうと、アングラー自身の居場所がなくなってしまう。そこで、とある大型コンバーチブル(70フッター)のベイトプレップ(冷凍庫やタックルロッカーなどを収めた本格的なもの)が占める面積を調べたら、なんと、それだけで25フッタークラスのバウカディ・スポーツフィッシャーマンのコックピットを3/4も占領することが分かった。さすがにこれは極端な例だが、あれも必要、これも必要と、なんでもかんでも好き勝手に取り付けていくと、それだけでけっこうな量になってしまうのだ。 フィッシングを第一の目的として建造されたフネには、他の種類のフネにはない特徴的な装備がいくつもある。フィッシュボックスやフィッシュウェルといった魚の収納場所は、どんなにキャッチ・アンド・リリースを旨とするアングラーでも、たまには必要となるものだし(ベイトを入れるということもある)、クラスの異なるロッドの何本かは手の届くところに置いておきたいはずだ。小物の置場もあったほうが便利に違いないし、ベイト加工のための設備や、コックピットを洗い流せるような蛇口もほしい。 |
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こういったものの一部には、フィッシングに関わりなく作られたフネの装備品でも間に合うものもあるが、やはりフィッシングを大前提としたフネのそれには、とてもとても機能的には追い付けない。 Fig.3は、25〜30フッター程度のバウカディ・スポーツフィッシャーマンをイメージして描いた平面図である。実際のフネではなく、筆者の頭にあったいくつかのフネの特徴をミックスしたもので、エンジンやカディ内部のことなど全く考えていないが、それでも、こういったフネに近いものは少なくない。で、今回はいろいろなフネの、いろいろな部分の、いろいろな造作を、この図に当てはめてご紹介することにしよう。 |
Fig.3![]() |
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| 揺れるからこそコックピット 陸から行うフィッシングとフネからのそれの決定的な違いは、フネが水面に浮いているというところだ。だからこそ、陸からのフィッシングでは狙えないゲームを相手にすることもできるのだし、水面に浮いていればこそ可能な釣法というのも存在するのである。しかしまた、水面に浮いているからこそ、起こる問題もある。それは足元がユラユラと揺れてしまうことだ。 フネが揺れる原因は、実は大まかに分けると2通りある。ひとつは船上での重心移動、つまり、たいていは乗っている人間が動き回ることによって起こる問題。もうひとつは、フネを支えている水が動くことによって起こる揺れ、要するに波だとか、うねりだとかいうものが原因の揺れだ。この他、風によってもフネは揺れるが、セールボート(要するに帆の付いたフネ)でもないと、風によってフネが揺れるような状況下では、その風によって起こる波の方の影響が大きいから、これはあまりフィッシングボートには関係がない。で、少なくともソルトウォーターの世界においては、この揺れ、特に波やうねりのそれは、まず避けることができない。 コックピットというところは、最初に述べたようにデッキから凹ませてある。だから周囲にはある程度の高さの“壁”があって、そこに寄り掛かることができ、それで身体を支えることができるわけだが、問題はその深さなのである。ゲーム相手にファイトし、それをランディングすることのみを考えれば、コックピットは浅くてもかまわない。むしろ、あえてコックピットではなく、回りに何もないプラットフォーム状のものでもかまわないだろう。ところが逆に揺れた場合の安全性を考えたら、コックピットは深ければ深いほど安心だし、その深さが人間の背丈以上あれば絶対確実、ともいえるのである。 参考までに、身長168センチ 以前からよく言われているのは、「コックピットの深さは膝以上で腰以下」ということである。とはいえ、それにはだいぶ差があって、足の短い筆者にとっても、40センチ以上の違いは確実にある。 この項では、その深さの違いがどういったものかを簡単な図で示してみようと思う。掲げた人体モデルは身長168センチ。これは日本人男性の平均だそうだが、実はこの“平均身長”というヤツは結構問題がある。仮に身長180センチが5人、身長156センチが5人だったとしても、平均身長は168センチ。だからといって、その平均だけを考え、168センチ用の服を作っても、だれもそんなものは着ない。昔からいう『帯に短し、襷に長し』の典型である。で、こういう場合はどうするかというと、その数値のどちら側を取るか、作るものの性格によって決めるべきなのである。たとえば、部屋の天井高は180センチの人に合わせて決める。通常使う戸棚の高さは156センチの人に合わせて決める。という具合にだ。ひと昔前の人間工学というヤツは、このあたりをほとんど考えなかったから、数値的には一見まともそうで、実は使いにくいという品物を作り出していたのだ。 とにかくこういうわけだから、この項の図は、たまたま身長168センチの人だと、こうなりますよ、というのが大前提。身長、釣法、海況などで、話はかなり変わる。 |
| Fig.4 ロッド保持時の姿勢 | スタンディング姿勢でロッドを保持し、膝をコックピットの内壁に押しつけたスタイルで揺れに対処するため、膝は軽く曲げた状態。どこにもつかまってないのが前提。 |
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| Fig.5 リーダー・キャッチ時の姿勢 | リーダーをつかむ以外にも、アウトリガーのハリヤード操作などで片手をのばすケースはある。片手はどこかにつかまることが可能だが、姿勢としては少々不安定である。 |
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| Fig.6 ランディング時の姿勢 | 完全に舷外に身体を乗り出す姿勢である。実際に水面に手が届くかどうかは、コックピットの深さのみでなく、フリーボード(乾舷)高やデッキ幅にも影響されることになる。 |
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| Fig.7 造作の違いによる効果 | コックピットからその周辺のデッキまで、バスタブ式に一体成形すると、内壁はツルリとした仕上がりになる。しかし、デッキがコックピットにかぶさるというか、いくらかでも手前に迫り出すような形状となっていると、ガンネル下にスペースができる。ここは、ロッドラックなどとして使われているが、膝がデッキ下に入るため、身体のホールドがやりやすくなるという効果もある。さらに、ボルスター(コックピット周囲の内壁上部に張られるパッド)が取り付けてあると、よりしっかりとしたホールドが望める。もちろん、バスタブ式のコックピットでも、ボルスターがあるだけで、同じような効果が得られる。図は深さ70cm。前ページのそれとは少々姿勢が異なる。 |
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| フネのコックピットというのは、機能的で、安全で、さらにフィッシングボートを名乗る以上、フィッシングを行いやすくするものでなければ意味がない。しかし、フィッシングのスタイルもさまざまなら、使う人間の寸法もさまざま、そして海況も常に変わる。すべての条件を満足させるものというのは、結局存在しないのだろう。 |
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8. スポーツフィッシング・ボート |