Fly Fishing with Lefty Kreh
Techniques & Tips

レフティー・クレーのフライテクニック(3)


Clouser Deep Minnow
クラウザー・ディープ・ミノー

The Best Underwater Fly Pattern
今アメリカで話題の
ユニバーサル・フライパターン


文/レフティー・クレー
訳&構成/編集部


63種をキャッチしたフライパターン


全て「クラウザー・ディープ・ミノー」。このパターンはマテリアルやカラーの厳密な組み合わせではなく、デザインの総称。したがってサイズもまちまちで、使用するマテリアルもバリエーションに富んでいる。共通しているのは、キールにしたフックとレッドアイ、そしてボディ材は使用せずにウイングのみを巻いているという点。
 淡水のそれと海水のそれを合わせ、実に50年以上もフライフィッシングを続けてきて、私はようやくベストと思われるアンダーウォーターのフライパターン「クラウザー・ディープ・ミノー(Clouser Deep Minnow)に巡り合うことができた。ここ数年の間に、私は各地でこのパターンを使い、淡水魚海水魚合わせて63種の魚をキャッチしている。ニュージーランド北島沖でキャッチした40Lbのスパニッシュ・マッケレルや、オーストラリア・バサースト島のスレッドフィン・サーモン、クリスマス島のジャイアント・トレバリー、ニューギニアの汽水に生息するニウギニ・ブラックバス、バハマのバラクーダ、南米の巨大ドルフィン(シイラ)、コスタリカ沖の豊饒な太平洋に遊泳するセイルフィッシュ、そしてフロリダのスヌーク、ボーンフィッシュ、パーミット、ターポン、レッドフィッシュ。これらは「クラウザー・ディープ・ミノー」を使ってキャッチした魚たちのほんの一例で、このフライパターンがほとんどの魚食魚に有効であることを如実に示している。

 まず、ボーンフィッシュにいかに有効かを話そう。もちろんタイイングの仕方も……。

6Lbオーバーのボーンを36尾

 親友のアーブ・スウォープとバハマの「アンドロス・アイランド・ボーンフィッシュ・クラブ」を訪れた時のこと。その日、我々はロッジのオーナーであるルパート・リードンと一緒に島の西側を釣り、6Lbオーバーを計36尾キャッチした。そのうち、10Lbオーバーが4尾。ビッゲストは11Lbだった。この11Lbは正確にスケールで量ったので間違いない。もちろん、この36尾のボーンフィッシュは全て「クラウザー・ディープ・ミノー(チャートリュース&ホワイト)」でキャッチしたものだ。
 オフショアの釣りや、またはボートの周辺に魚が現われたといった場合に問題なのが、素速く沈んでくれるフライパターンがまるでないという点である。既成のフライパターンには、たいてい浮力の高いマテリアルが使われており、サーフェスに張り付いたまま、こちらの思うようにはなかなか沈んでくれないものだ。ところが、フィスヘアーやウルトラヘアーといったシンセティック・マテリアルに加えて、重たいレッドアイの付いた「クラウザー・ディープ・ミノー」は、まさにトンカチのような速さでアッという間に沈んでくれるのだ。

元々はスモールマウスバス用として開発された

 このパターンを開発したのは、ペンシルバニア州のミドルタウンでフライショップを経営するボブ・クラウザー(Bob Clouser)で、元々はスモールマウスバス用のミノーライクなフライとして開発された。最初にボブからそのフライを手渡された時、私は正直言ってそれが完成したフライだとはとても思えなかったものだ。何かタイイングの途中のような、そんな感じがしたのだ。

 まず最初に理解してほしいのは、「クラウザー・ディープ・ミノー」は、他のフライパターンのようなマテリアルカラーの厳密な組み合わせではないということだ。むしろ、「レフティーズ・デシーバー」のような特定のフライデザインと考えるべきだろう。つまり、このデザインに従ってタイイングされる限り、2&1/2inほどの小さなサイズから12inの巨大なものまで全て「クラウザー・ディープ・ミノー」と言えるわけで、ウイングのカラー等にも特に決まりはなく、重さにしてもビーズチェーンやレッドアイのサイズを自由に変えることができる。
 ボブ・クラウザーによって巻かれたオリジナルの「クラウザー・ディープ・ミノー」は#2フックのバックテイル仕様だった。その後、フックサイズやウイングの長さなど、様々なバージョンが誕生したが、どれも基本的には同様のスタイルで巻かれている。

オーストラリア・バサースト島で筆者レフティー・クレー氏がキャッチしたスレッドフィン・サーモン。

素速い沈下速度が特長

 ベイトフィッシュのイミテーションというこのフライの性格上、アトラクター的なカラーはあまり使用されない。仮に水中で小魚を見た場合、尾ビレやエラブタといった細かなディテールは見えないものだ。判別できるのは、あくまでもその小魚の「雰囲気」にすぎない。魚体の全体像はボヤケて、かろうじてその眼が分かる程度だ。この「雰囲気」のイミテーションこそ「クラウザー・ディープ・ミノー」だと言える。リトリーブによって、フライは本物の小魚になるのである。

 このパターンのもうひとつの特長は、沈下速度が極めて速いという点だ。まばらなウイング材の他に付いているものといえば、スレッドとアイだけで、フライは着水と同時に沈下し始める。アイがフックシャンクの外側に取りつけられ、ウイングがその反対側、つまりフックポイント側に取りつけられている。これによって、フックポイントは常に上を向き、根掛かりの心配をせずにボトムを探ることができるのだ。
 使用するアイにはビーズチェーンとダンベル型のレッドアイがあるが、レッドアイを使ったパターンのほうが実績は高い。レッドアイのサイズに関しては、だいたい次のような基準をもとに選べばよいだろう。

ナイスサイズのブルーフィッシュ。上のスレッドフィンも含めてクラウザーパターンでキャッチしたもの。

 フラットエリア:5/32in(1/50oz)
         3/16in(1/36oz)
         7/32in(1/24oz)
 ディープエリア:1/4in(1/18oz)
         9/32in(1/10oz)

タイイングの手順


同じくクラウザーパターンで筆者がキャッチしたスパニッシュ・マッケレル。オフショアの魚に対しても、キャストしやすく沈下速度の速いクラウザーは威力を発揮する。
 先述したように「クラウザー・ディープ・ミノー」は小魚のイミテーションである。仮にその小魚の体長が約2&1/2inほどで、茶系の体色であったなら、私は次のようにタイイングするだろう。
 まず、バイスにフックを挟み、フックアイから約1/4in後ろに1/36ozもしくは1/24ozのレッドアイを取りつける。次にフックを回転させて、ポイントが上、シャンクが下になるようにセットする。それから、アンダーウイングとして、薄茶色のバックテイルを少量、レッドアイの前に巻く。長さは大人の小指ほどだろう。注意してほしいのは、決してオーバードレスにならないようにすることだ。薄茶色のバックテイルの上には、銅色のクリスタルフラッシュあるいはフラッシャブーを6本ほど巻き、さらにその上にアンダーウイングと同じ分量だけこげ茶色のバックテイルを巻く。フライ全体をまばらな感じに仕上げるのがコツだ。

 もしウィードの多い場所で使うのなら、レッドアイを取りつける前に、ワイヤーのウィードガードを巻き込むことを薦める。ウィードガードの作り方は簡単。#5か#6のトローリング用ステンレスワイヤーをフックアイの方向に伸ばすように取りつける。タイイングが終わるまでそのままにしておき、最後に後方へ折り曲げて形を整えればよい。
 スパニッシュ・マッケレルやビルフィッシュ、トレバリーといった大型のゲームフィッシュを釣るためのオフショアフライとしても「クラウザー・ディープ・ミノー」は威力を発揮する。4/0フックに1/18ozや1/10ozといった重いレッドアイを取りつけ、ウイング材にはウルトラヘアー(ストリーマーに多用されるシンセティックマテリアル)を使用する。アンダーウイングとして、ホワイトの「ウルトラヘアー」を適宜の長さ(5から10in)取り付け、その上にクリスタルフラッシュのパールを少量巻く。最後に、トップウイングとしてグリーンかブルーのウルトラヘアーを付けて完成である。このスマートなフライはキャストしやすく、そして沈下速度が速い。外洋のベイトフィッシュの背はたいていグリーンかブルーで、腹は白い。これはそのイミテーションなのだ。

 私が今までに使ったボーンフィッシュ用のフライのなかでベストを2つ選べと言われたら、やはりこれもクラウザー・パターンになってしまう。どちらも#2フックに2&1/2inのウイングを取り付けたもので、アンダーウイングとしてホワイトのバックテイルを巻き、その上にパールのクリスタルフラッシュを付ける。違いはトップウイングに使用するバックテイルの色で、一方はチャートリュース、もう一方は薄茶を使う。
 自分のニーズに合わせた「クラウザー・ディープ・ミノー」を巻くためには、まずターゲットの魚がどんなベイトフィッシュを捕食しているのかを見極めることが大切だ。それが分かれば、その特定のベイトフィッシュにフライをマッチさせればよいのだ。
 フライフィッシャーマというのは、いついかなる状況下でも有効なフライパターンを捜し続けているものだ。「クラウザー・ディープ・ミノー」がまさしくソレだというわけではないが、私が今まで使ってきたフライの中では、最もソレに近いと言える。

クラウザーパターンでキャッチしたバハマ・アンドロス島の10Lbオーバー。ボーン用に筆者が薦めるのは、#2フックに2&1/2inほどに巻いたもの(本文参照)。


「クラウザー・ディープ・ミノー」
タイイングの手順

繰り返すが、「クラウザー・ディープ・ミノー」はマテリアルやカラーなどの厳密な組み合わせではない。実際にタイイングする際には、マッチ・ザ・ハッチならぬマッチ・ザ・ベイトを基本に、必要に応じたサイズ、カラー、ウイング材で巻くことが大切だ。ここでは仮に5cmほどのイワシを想定し、#2フックを使って「クラウザー・ディープ・ミノー」を巻いてみた。


1. フックをバイスに挟み、シャンク上にレッドアイを固定する。固定する位置はアイからシャンクの1/3ほど。


2. フックを回転させてポイントを上にする。レッドアイはシャンクの内側(ポイント側)に固定しないこと。

3. アンダーウイングとしてホワイトのバックテイルを少量取りつける。少し少ないくらいの感じでよい。


4. グリーンorブルーのシンセティックヘアーを巻き、トップウイングとして同系色のバックテイルを巻く。


5. レッドアイをペイントして完成。全体をまばらな感じに仕上げること。タイイングの手順はどれも同じだ。

筆者紹介/レフティー・クレー(Bernard “Lefty” Kreh)
ソルトウォーター・フライフィッシングを愛する人で彼の名前を知らない人はいないだろう。その著書はどれも有名で、ビデオ出演本数も並はずれている。おそらく、アメリカで最も有名かつ成功しているフィッシング・ライターではないだろうか。また、彼の考案によるフライパターンも数多く、中でも「レフティーズ・デシーバー」は普遍的なスタンダードパターンとしてあまりにも有名である。主な著書には、「Fly Fishing In Saltwater」「Fly Casting with Lefty Kreh」「Salt water Fly Patterns」「Spinning Tips」「Advanced Fly Fishing Techniques」「Longer Fly Casting」などがある。


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