Fly Fishing with Lefty Kreh
Techniques & Tips

レフティー・クレーのフライ・テクニック(4)

Salt Water Fly Fishing Tips
レフティー・クレーが薦める11のアドバイス

文/レフティー・クレー
訳&構成/編集部

釣りをする上で役に立つちょっとしたアイデアや、釣行を快適にするコツのようなものを、アメリカでは「tip」と言う。大上段に構えたテクニックではないが、こうしたさりげないティップをいくつも知っている人はやはり腕も確かだ。今回は「レフティー・クレーが書く11のアドバイス」と題し、ヘルプフルなティップをいくつか集めてみた。

フライラインの整理法 MARKING FLY LINES

 フライフィッシャーマンは実にたくさんのフライラインを使うが、これは時に混乱を招く。使用するフライラインと同じ数だけのフライリールを所有していない場合、当然ながらラインを交換しなければならない。市販のフライラインにはスプールに必ずラベルが張ってあるが、実はこれが問題を引き起こすのである。
 こうした混乱を防ぐには、フライラインそのものに印をつけるというごくシンプルな方法が確実だ。用意するのは油性マジックペン(私は黒を使っている)。これでフライラインにグルッと帯状のマーキングをするわけである。太い帯印を#5、細い帯印を#1と決める。このマークはラインの寿命程度には消えないし、また魚を脅かすこともない。


 もしもウエイトフォワードなら、太いマークを前方(リーダー側)に塗り、細いほうを後ろに塗る。ダブルテーパーなら、逆に細いほうを前に、太いのを後ろにすればよい。例えば、ウエイトフォワード#8の場合には、フライラインの先端から1ftほどの所に太い帯印を塗り、その後ろに細い帯印を3本塗ればよいのだ。
 また、フライラインの色が暗めの時には、ワイヤー用のビニール管を使ってもよい。これは電気のワイヤー線に使用するもので、熱で収縮させ、ワイヤー線を覆うために使用される。電気のパーツ類を置いている店などで購入できるはずだ。このビニール管を長短の2サイズに必要なだけカットし、フライラインを通す。次にビニール管を通した部分をそのまま熱湯に約30秒間浸す(ラインは痛まないのでご安心を!)。これでビニール管はラインにピッタリと装着される。

上がマジックペンによるマーキング。WF-6を意味している。下はワイヤー線用のビニール管を使ったマーキング。WF-7を意味する。


液体靴墨で黒く染めた帽子のつば。つばの下側が明るい色だと、水面の反射を照り返すので眩しい。つばの下側は、光を吸収する暗い色が望ましい。
反射を防止する帽子 TO SEE BETTER

 ソルトウォーター・フライフィッシングでは、キャスティングを行なう前に魚を発見しなければならない場合が多い。もしも帽子を被っていないと、太陽や水面の反射によって非常に見づらくなってしまう。だが、帽子さえ被っていればいいというわけではなく、つばの下側の色が薄いものだと、太陽光線は遮れるものの、水面の反射がつばに跳ね返り、やはり見づらい。そこで、帽子はつばの下側が暗い色のものを被ることだ。
 そんな帽子を持っていないのなら、液体の靴墨を使えば簡単に塗ることができる。ちなみに、靴墨は帽子を使う日の1〜2日前までに塗っておくこと。塗った直後に帽子を被ると、靴墨の蒸発のために目を痛めてしまう。

タックル類は機内に持ち込む CARRY IT ALL WITH YOU

 今日、3ピース以上のいわゆるトラベルロッドは1ピースや2ピースにもまったく劣らない性能を備えている。トラベルロッドの利点はやはり収納時と釣行時において最も発揮されるが、トラベルロッドを持ち運ぶためのケースの多くはたいていロッドだけしか収納できない。そこで、ロッドと一緒にリールやフライボックス等、必要なギア一式をまとめて持ち運べるようなトラベルケースを使ってみてはどうだろう。
 これを機内に持ち込んでしまえば、タックル類が紛失する心配はない。バッゲージとしてタックル類を預けると、トランジット時などによる紛失の可能性も考えられる。せっかくの釣行を台無しにしないために、タックルの機内持ち込みを薦めたい。

このケースには2本のフライロッドと2台のフライリール、2つのフライボックス、その他のギア一式を収納できる。これを機内に持ち込めば、バッゲージが紛失しても少なくとも釣りはできる。


バスフィッシング用のワームバッグは、釣行用ストリーマーケースに最適。このように一覧できる上に、実にコンパクトになる。
ストリーマーの持ち運びにはワームバッグが便利 
STREAMER FLY CARRYING CASE

 どんなパターンが必要になるか分からない場所に釣行する際、問題になるのはいかにして大量のフライを持ち運ぶかである。一般的なフライボックスは場所を取る上に壊れやすく、必要なフライを素早く取り出すことができない。
 だが、大量のフライを持ち運べ、しかも持参したフライのすべてを一覧できる素晴らしいケースが実はあるのだ。それはバスフィッシング用のワームバッグである。
 それぞれのコンパートメントはジッパーにより開閉ができ、透明のビニールなのでどこにどのフライがあるかも一目瞭然。しかも、折りたためば本くらいの大きさで非常にコンパクトである。

釣り場でノットを締める方法 TIGHTEN THE KNOT

 たとえ何結びであろうと、ノットはできるだけタイトに締めておくことだ。釣り場ではフックをしっかりと引っかけておく場所がないので、ノットを充分に締めるのが難しい。そんな時は、ガイドのフレームを利用するとよい。ロッドに付いている一番大きなガイドのフレームにフックを引っ掛け、ノットを締めるのである。フックを掛けるのはフレームであって、ガイドリングではないから注意。

釣り場でノットを締めるには、このようにガイドのフレームにフックを掛けて引っ張ればよい。



巻きぐせのついた太いモノフィラメントは、金属製のパイプに入れてまっすぐに伸ばすとよい。このような容器に水を張り、一度沸騰させてから冷水に浸す。
ショックティペット用モノフィラメントをまっすぐに伸ばす方法
STRAIGHT MONOFILAMENT

 ソルトウォーターの釣りでは、フライとティペットとの間に太いモノフィラメント・リーダーが必要になる場合が多い。一般にショックティペット、あるいはバイトティペットと呼ばれるこの部分は、魚の歯からティペットを守るためのものだ。このショックティペット用として、釣行の際に80Lbや100Lbといったモノフィラメントをスプールのまま持ち運ぶと、コイル状の巻きぐせがついたままで使い物にならない。リトリーブした時にフライが正しい姿勢で泳ぐようにするためには、ショックティペットはまっすぐに伸びていなければならないのだ。

 これを解消するには、長さ18インチの金属パイプ(真鍮や銅など)を用意する。次に、同じく18インチにカットしたショックティペット用のモノフィラメントを、パイプに入れられる本数だけ入れる。モノフィラメントで一杯になったパイプを、今度は水を張った容器に入れ、火にかける(モノフィラメントを痛めることはない)。水が煮立ち始めたら、すぐにパイプを取り出し、冷水に漬ける。
 これでモノフィラメントはまっすぐに伸びる。また、これらを持ち運ぶには、長さ18インチ、太さ1/2〜3/4インチ程度のプラスティック製パイプが最適である。パイプの口に合うキャップを2つ取りつければ、開け閉めも簡単だ。

オフショアのボート上で素早くキャストする方法
BOAT TRICK

 オフショアの魚を狙う時には、いつでもキャストできるようにフライラインを引き出しておかなければならない。かといって、リールからラインを引き出し、床に重ねておいても、風などでそこらじゅうに飛んでしまったり、絡まってしまったりする。
 こんな時は大きなバケツをひとつ用意しよう。そして、まず必要と思われる距離をキャストし、それからバケツの中にラインをストリップしていく。これで準備は完了。いつでもキャストすることができる。
 また、ヘビードレッシングのフライ(ビルフィッシュ用フライなど)を用いる場合、フライが乾いているために第1投目ではなかなか沈んでくれない。こんな時は、小さなバケツに1インチほど水を張り、その中にフライを浸しておくとよい。

大きなバケツにはラインをストックし、小さなバケツには水を張ってフライを浸しておく。ラインは一度キャストしてからバケツにストリップすること。


ボーンフィッシュの適正ドラグ値はこのように決める。強過ぎず、弱過ぎずの微妙なセッティングが可能だ。
ボーンフィッシュのドラグセッティング 
SETTING THE BONEFISH DRAG

 ボーンフィッシングには細いティペットが用いられるが、この魚のファーストランは強烈で、適切なドラグセッティングが要求される。強過ぎるとティペットが切れ、弱過ぎれば好き放題ラインが引き出される。
 私にとってパーフェクトなドラグのセッティング法は、以下のようなやり方である。乾いた唇でフライラインを強くくわえる。そして、リールからラインを引き出せなくなるまでドラグを強めていくのである。私が今まで試みたドラグセッティングの中で、ボーンフィッシュに対して最も適切なドラグ値を設定できるのがこの方法である。

エイに刺されないウェーディング法 
WADING SAFELY

上:このように足を上下させると、エイを踏んでしまう可能性がある。
右:過ってエイを踏みつけてしまわないように、シャローフラットでは擦り足で移動する。
 フライフィッシャーマンがウェーディングするようなシャローフラットには、スティングレイ(アカエイ)が多く生息している。過って踏みつけると刺されてしまい、危険である。彼らは翼のように体をバタつかせて泥を舞い上げ、器用に身を隠すため、こちらが先に発見するのはまず無理である。
 スティングレイを踏みつけるのを防ぐ最良の方法は、足を底に沿わせながら歩くことである。彼らは人間を好きで刺すのではない。ただ踏まれたくないだけなのだ。だから、このように足を引きずりながら歩いていれば、もし気づかずに触ってしまっても、向こうが逃げてくれる。足を上げ下げする普通の歩き方は決して行なってはならない。

乱雑なボート上の整理にはメッシュネットを利用する
NETTING SAVES TROUBLES

 毎年、何百という魚がフライフィッシャーマンたちによってその命を救われている!? その原因の多くは、キャスト中のライントラブルなど、アングラー側の「寛大な過失」によるものである。しかし、我々が釣行する世界各地のスポットには、たいていの場合、フライフィッシング用にデザインされたボートなどはない。それらのボートにはしばしばクギが飛び出していたり、アンカーやロープなどが置いてあったりで、ラインを引っ掛ける障害物には事欠かない。
 そこで、釣行には2m四方以上の大きさのメッシュネットを携帯することをお薦めしたい。これをキャスティング・ポジションの周囲に敷くわけである。4つ角にはそれぞれ軽めの重りを取り付け、風で飛ばないようにする。空気を通さないキャンバス製やビニール製のシートよりは、このメッシュネットのほうがずっと使いやすい。折りたためばボールのように小さくなってしまい、持ち運びにも場所を取らない。

ゴチャゴチャした足下は何かとトラブルの元になる。こんな時はメッシュネットを敷くとよい。


魚を暴れさせずに持ち上げる最良の方法が「コンフォート・リフト」。魚の重心を支えるように持つこと。
「コンフォート・リフト」という魚の持ち方
COMFORT LIFT


 キャッチした魚を水から持ち上げなければならない場合、オーストラリアで考えられた「コンフォート・リフト」と呼ばれるメソッドは確実である。水中で魚の下側に手を当てて持ち上げるだけだが、この時注意したいのは、手を魚の重心に当てて持ち上げるということである。持ち上げている際にどちらかへ滑るようなら、一度下へ下げて、手の位置を重心に直してから、再び持ち上げる。決して難しくはないので、ごく短時間でコツを覚えられるはずだ。
「コンフォート・リフト」を正しく行なえば、魚は動かずにジッとしている。この方法の魚に対する安全性は、生物学者にも認められている。また、ボーンフィッシュのような小型魚の場合には、逆さまにして持ち上げても同様にジッとしている。

筆者紹介/レフティー・クレー Bernard “Lefty” Kreh
ソルトウォーター・フライフィッシングを愛する人で彼の名前を知らない人はいないだろう。その著書はどれも有名で、ビデオ出演本数も並はずれている。おそらく、アメリカで最も有名かつ成功しているフィッシング・ライターではないだろうか。また、彼の考案によるフライパターンも数多く、中でも「レフティーズ・デシーバー」は普遍的なスタンダードパターンとしてあまりにも有名である。主な著書には、「Fly Fishing In Saltwater」「Fly Casting with Lefty Kreh」「Salt water Fly Patterns」「Spinning Tips」「Advanced Fly Fishing Techniques」「Longer Fly Casting」などがある。


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