<大特集>
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PART1 キハダをフライで狙う
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| ソルトウォーターのフライフィッシングは未だ発展途上である。日本のフィールド環境は決してベストの条件を提供しているとは言いがたいが、それにしてもフライのターゲットとなるゲームフィッシュがシイラとシーバスだけでは、あまりにも寂しすぎやしないだろうか。今後、「スポーツアングラーズ」は海のフライフィッシングをひとつのテーマとして、その更なる可能性を積極的に探究していくつもりだ。 |
| そこで、今回は第一弾としてイエローフィンツナとビルフィッシュを取り上げてみた。どちらも、アメリカではテクニックなりストラテジーなりがほぼ完成されている魚種である。もちろん、アメリカの方法が日本において100%通用するとは思えないが、それでも、かなりのヒントは間違いなく得られるはずである。これは「スポーツアングラーズ」が読者諸兄に贈るひとつの提案だ。 もしツナが人間の言葉を理解したなら、彼らは自分たちをこんな風に自画自賛するかもしれない。「10億年の進化の過程であらゆる身体的機能を純化させた我々は、海に住む生物の中で最も機能的で無駄がない。一生の間ずっと身体機能を最大限に働かせ、決して休むことなく泳ぎ続ける。種を存続させる他は食料の確保にエネルギーの全てを費やす。華麗かつシンプル、これこそ我々の生き方だ」 科学的な裏付けによってツナを描写しようとすると、それはどうしても面白みに欠けてしまう。かといってアングラーとして彼らを語る時には、あくまでもロッドとリールで相手にするという事実を考慮に入れた描写でなければならない。特に、ロッドとリールがフライタックルである場合には……。 そこで、この大洋の旅人に関する基礎的な知識を知ることからまず始めよう。 |
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| BIOLOGICAL ASPECT
科学者によれば、ツナは流体力学的な発達を極めるようにして進化してきたという。あまりにも稚拙な表現ではあるが、彼らは実にパワフルで敏速なスイマーである。俊敏なスプリンターであると同時に、相当にタフなマラソン・ランナーでもあるのだ。流線型のボディー形状と滑らかな体表面は、高速で泳ぐことを可能にしており、事実、ビルフィッシュとともに最も俊敏な魚と言われている。休みなく泳ぎ続ける理由は、呼吸のためであり、泳ぐという行為によってエラに酸素を送り込んでいるのである。加えて、水中での浮力に乏しい身体は泳がなければ沈んでしまうため、たとえゆっくり泳ぐにしても、少なくとも自分の身体の長さ分の距離は毎秒ごと泳がなければならない。したがって、大型のツナがのらりくらりと泳ぐ速さは、オリンピック選手の100m自由形よりも速い。それに、エネルギーの消費量も凄まじい。実に体重の25%以上に相当するエネルギー量を毎日消費する種もあるのだ。 |
| BACK BENDING, ARM WRENCHING, LINE BURNING TUG OF WAR. フライタックルでツナをキャッチしたいと願うアングラーにとって、以上のようなデータが、いったい何を意味するか? 答えは極めてシンプル。ツナをおいて他にツナのごとき対戦相手はないということである。ゲームフィッシュきってのタフガイを相手にするからには、タックルはもちろんのこと、アングラー自身の限界までをも試されるということを肝に銘じておくべきだろう。ターポンやビルフィッシュのように、アクロバティックなジャンプや宙返りが楽しめるわけでは決してない。アングラーを待ち受けているのは、いつ終わるとも知れぬ果てしない引っ張り合いなのである。 |
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| GUANAMAR, COSTA RICA
バハカリフォルニアから中南米にかけての温水域には、イエローフィンをはじめとして、ビッグアイ、スキップジャック、ブルーフィンなどのほとんどのツナファミリーの回游が見られる。中でも、イエローフィンは最も数が多く、私自身これまでにもバハ沖などではかなりイイ思いをしているが、フライでということになると、お薦めはコスタリカである。20数年前に初めてコスタリカを訪れてからというもの、頻繁にこの地を訪ねている私だが、太平洋側のベストリゾートとして文句なしに推したいのが、キャリロ・ベイに最近できたガナマール(Guanamar)だ。 ROD IS GOD 親友のレフティー・クレー(周知のとおり有名なフライフィッシング・マスターだ)はこう言っている。「まったく小型のツナみたいなゲームフィッシュはいないよ。同じ大きさの他のどんな魚よりも、ヤツラは大型なんだ」。もしも読者がツナを1尾でもラインの先に掛けたことがあるなら、クレーの言葉が決して大袈裟な誇張ではないことが分かってもらえるはずだ。実際、私がツナを釣る時のタックルといえば、セイルフィッシュに使うのと同じ12番にちょっとした工夫を凝らしたものだ。私はオービスのソルトウォーター・アドバイザリー・チームとしてフィールド・テスターをしており、この時の釣行でも、HLSターポン・トラベラー4ピースロッドと、ダイレクトドライブのD-XRターポンモデル・リールを使用した。 |
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他にも注文はある。次に要求されるのは、ファイティング時の性能だ。ツナ用のロッドは実戦向きのファイティング・ツールでなければならない。ツナ・ファミリーすべてのメンバーに共通する特徴として、フックアップと同時に下へ潜る性質が挙げられるが、コンパクトな弾丸型をした筋肉質のボディーからはとてつもないパワーが生み出される。ロッドは決してフライを運ぶためだけのものではなく、ポンピングによってパワフルなツナを深みから引き上げられるだけの腰の強さもまた要求される。 |
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| DIRECT OR ANTI, WHICH IS YOUR CHOICE?
ビッグゲーム用のフライリールに関して言えば、今日では迷ってしまうほどの種類が売られている。アングラーは高品質な製品の中から好きなものを選べるわけだ。ダイレクトドライブもしくはアンチリバースのどちらでもよいが、ラインを素早くピックアップできるので個人的にはダイレクトドライブが好きだ。だが、もしもこの手の釣りの経験が少ないなら、アンチリバースタイプを選べば間違いない。15〜30Lbクラスのスクールサイズでさえ、イエローフィンの最初の走りは強烈で、200ヤードは楽に出ていってしまう。この時、ダイレクトドライブのハンドルは高速で回転するので注意が必要だ。不注意に触れると指をケガしてしまう。ほとんどのアングラーにアンチリバースが向いている理由のひとつはここにあるのだ。 |
FAST SINKING SHOOTING HEAD![]() ![]()
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先にも述べたように、ツナは外洋の上層部を遊泳する傾向がある。だが、だからといって海面直下を泳いでいるわけではない。そこで、フライラインに関する私のチョイスはファーストシンキングのシューティングヘッドだ。トリヤマからナブラが立ち、海面で活発な捕食活動をしている時でさえ、実際の捕食の大部分はサブ・サーフェス、つまり海面下数10cm〜数mのところで行なわれているのである。フローティングラインを使ったストリーマーやポッパーの釣りは、身体中のアドレナリンを溢れさす爆発的なストライクを期待できるが、ベストの結果を得られるのは、大抵の場合シンキングラインのほうである。 シンキングラインのアドバンテージを列挙してみよう。まず最初に挙げたいのは、たとえ最も速く沈むライン(たとえばリードコアヘッドのような)であっても、着水と同時に深みへ急降下していくわけではないという点である。シンキングラインだからといって、メタルジグなどのようには決して沈まない。潮流がラインの沈むスピードを必ず遅くするからだ。したがって、たとえシンキングラインであっても、着水と同時にストリッピングを始めれば、サブサーフェスを効果的に釣ることができる。一方、フローティングラインでは深度をコントロールするようなことはできず、サーフェスに限られてしまう。もしも魚が表層下数ftで捕食していたら、フローティングではお手上げである。 第二のアドバンテージは、ほとんどのシンキングヘッドはフローティングラインよりも径が小さいという点だ。これはキャストのしやすさを約束するばかりではなく、よりたくさんのバッキングが巻けるということをも意味する。 |
| RUNNING LINE, MONO OR BRAIDED
当たり前だが、シューティングヘッドにはランニングラインもしくはシューティングラインと呼ばれるラインが必要だ。いずれにせよ、この時の私のチョイスはサンセットライン社から「アムニージア(Amnesia)」という商品名で発売されていた40Lbテストのモノフィラメントであった。もしもブレイデッドを選ぶなら、ブレイデッドの伸びの少なさを補うために、ダクロンのバッキングとブレイデッドのランニングラインの間に100ftほどのモノフィラメント・セクションを設ける必要がある。 |
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| ツナ・トニック フック:イーグルクロウ254SS、マスタッド3407 #1/0〜4/0ボディー:シート状の鉛 シルバーorゴールド・マイラーチューブ ウイング:ホワイトマラブー クリスタルヘアーor/andフラッシャブー各色 アイ:レッドグラスアイorドールアイ 中、右ツナ・トニックのバリエーション2種 | ||
| LEADER IS YOUR LEADER
リーダーシステムに関しては、ごくスタンダードなソルトウォーター用のシステムである。スポーツ性を考慮して、私はIGFAルールに基づいたリーダーを作っている。 |
| 注意したいのはむしろワイヤーとクラスティペットとの接続方法である。直接結ぶのではなく、スイベルを介して接続するのだ。#7か#10といった小型のブラックスイベルを使用すれば、ワイヤーとの接続はかなり簡単になる。スイベルを含めたワイヤーの長さが12インチを越えていなければ、IGFAルールに関する問題はない。ワイヤーをスイベルやフライに結ぶには、右のイラストに示したヘイワイヤー・ツイストがよいだろう。 |
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| FLIES, SARDINA & TUNA TONIC
ツナ用のフライというと、たいていのビギナーはビルフィッシュ用のフライなどを想像しがちだが、実際には巨大なハックルつきの派手なフライは必要ではない。アルバコアやボニート、スキップジャック、そしてイエローフィンといったツナファミリーに最も有効なのは、比較的小ぶりで(大きくても4インチまで)フェザーのまばらなタイプである。先にも述べたように、ツナはエネルギーの需要量が極めて大きく、ことエサに関してはイカからカニまであらゆるものを積極的に捕食するが、食性の大部分はやはりイワシなどのベイトフィッシュに頼っている。こういったベイトフィッシュの背はたいてい緑や青、またはブルーなどの暗めの色で、反対に腹の部分はきまって白である。フライをタイイングする際には、このことを念頭に巻くべきだ。 |
| 「サルディナ」パターンは簡単にタイイングできる。4〜6枚のホワイト・サドルハックルと、2枚のブルー、あるいはブラックのサドルハックルを左右それぞれアイから1/2インチ後ろに巻く。ハックルの長さはシャンクの約2倍強。それから、シルバーフラッシャブーを数本、ハックルの約半分の長さで巻く。トッピングとして、グリーンとブルーのクリスタルヘアーかフラッシャブー(2種類を混ぜてもよい)を使う。最後にミディアムサイズのグラスアイかドールアイをアイの後ろに固定すれば完成である。私のパターンすべてに言えることだが、仕上げとしてヘッドを5分硬化のエポキシで固める。耐久性を高めるためだ。 ツナ用のスペシャルフライとして私が考案したのが「ツナトニック」である。(編集部注:「ツナトニック」はレフティー・クレー著『ソルトウォーター・フライパターン』の中でも紹介されている)フックは先述の「サルディナ」と同じものでよい。ただ、沈みをよくするために薄いシート状の鉛でボディーを形成する。ワインボトルの首などに巻いてあるアレだ。それを半分に折り曲げ、シャンクに固定したら、ベイトフィッシュの腹部を真似てテーパー状にカットする。一番太い所でも5/16インチ以内にすること。次にシルバーマイラーをそれに被せて両端をスレッドで固定し、ボディー全体を5分硬化のエポキシで固める。エポキシが乾いたら、フックの約2倍の長さでホワイトマラブーを巻き、ブルーかグリーンのマラブーを少量トッピングする。代わりに別の色のマラブーを巻いてもよいだろう。最後にミディアムサイズのグライアイかドールアイを取り付け、エポキシで固めれば完成だ。 「サルディナ」「ツナトニック」ともに非常に効果的なパターンである。今回のガナマールにおいても、ある午後などは、12〜20Lbのイエローフィンを7尾もキャッチすることができた。 |
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| FIND SOME SIGNS!
繰り返しになってしまうが、ツナはセイルフィッシュやマーリンとは違う。ツナがビルフィッシュのようにティーザーを追うことはめったにない。したがって、いかにしてツナとコンタクトするかが問題になるわけだが、ほとんどの場合、それは視覚に頼ることになる。海面でのナブラを別にすれば、ツナの存在を知らせるサインは2つある。ひとつはトリヤマ、もうひとつはイルカの群れである。 SIMULATE THE BAITFISH リトリーブに関しても、たいていのアングラーが信じているものとは反対の方法が効果的だ。なにも火花が散るほどのスピードでリトリーブする必要などないのだ。ツナの関心を引くのは並みの速さのリトリーブである。 ENJOY YOUR BATTLE! ツナフィッシングの面白さはストライクさせる段階にあるのではない。それは長く強烈な最初のランの後のバトルにあるのだ。このバトルの段階まで持っていくことができなかったという例を挙げればキリがない。最初のランでバッキングをすべて持っていかれることは決して珍しくないのだ。横に走る魚に対してはボートで追いかけるという手もあるが、真下に潜られてはなす術もない。イエローフィンの場合は特に大小のサイズが混ざっていることが多く、1人が10Lbのスクールサイズを掛けている横で、もう1人が100Lbオーバーのゴリラサイズを掛けるという事態も起こり得る。 |
| 筆者紹介/ニック・クルシオーネ(NICK CURCIONE) 犯罪学の教授。アメリカ西海岸におけるソルトウォーターフライフィッシングのパイオニア。LAのロヨラ・メリーモント大学で教鞭を執るかたわら、米国「フライフィッシャーマン」誌や「カリフォルニア・アングラー」誌等で盛んな執筆活動を行なっている。かの名著「フライフィッシング・イン・ソルトウォーター(レフティー・クレー著)」でも、ウエストコーストのパイオニア的存在として紹介されており、ハリー・カイム亡き後のソルトウォーター・フライフィッシング界を継承し、新たな可能性を探り続ける孤高のスポーツアングラーである。 |
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