フライフィッシングの更なる可能性を探究するPART1 キハダをフライで狙う日本のエキスパートたちキハダのフライフィッシングは、果たして日本のフィールドで成立するのだろうか。たしかに、カツオなどを狙っていて偶然に釣れたという話はよく耳にするが、初めからキハダを狙って釣行するアングラーは非常に少ないようである。だが、釣っている人は確実にいるのだ。そこで、今回は3人のフライロッダーに登場していただき、彼ら自身の体験談を語ってもらった。 |
| 沖縄パヤオ周りの攻略法…久高将和 アヒの猛烈な突進に対応しうるだけのパワーと必要十分なリフティングパワー、並びにイージーキャスティングをロッドの条件に、あれこれと手にし、やっとの思いで見つけたのがオービス・ボロン#10、9ftライトターポン・ブランク。意に反するように、リールから吐き出されてしまうハイスピードのラインにも音を上げず、海水にも動ぜず、ループ・トゥー・ループなどのラインシステムの通りもスムーズに、ということを条件に選びだしたSICチタニウムガイドを、しっかりと二重にラッピングしたカスタム仕様。 リールは通常、思いきりミスマッチに見えてしまうものの、これまた幾多の失敗を反省し考え抜いた末も大径モデル、APIブルーウォーター、ATH・S-3。 |
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大胆不敵にも、おおいに遊び心がうずいた時にはエーベル#3、そして、フィンノール#2。いずれのリールにも海で楽しむための基本原則として、バッキングラインを200〜500mはキッチリ確保済。 ラインは、チャミングが前提のゲームでは3MターポンテーパーWF11S。ほどほどのチャミングにキャスティング&リトリーブでゲームを展開させるなら、ほどよいラインさばきのティーニーニンフT-400。底層部にひそむ大物を狙う場合は、ウエットセルスーパーファースト・シンキングST10Sと、使い分けをしているつもりであるが、残念なことにまだ心に残るほどのものをキャッチするに至っていない。 フライは、言わずともストリーマーだが、漠然と小魚のイミテーションなら何でもという訳ではない。ターゲットがアヒのゲームと特定した場合、沖縄ではパヤオ周りの釣りと限定されるので、チャミングしてアヒをよせてゲームを展開する時にはチャムベイトのキビナゴのサイズとカラーを参考に、可能な限りリアルなフライをタイイングすることに思考を凝らす。 また、キャスティング&リトリーブのようなフライフィッシング本来のカッコイイ釣りを夢見るのであれば、マッチング・ザ・ミノーを念頭に、(今や海用ストリーマーの基本パターンの)レフティーズ・デシーバーなどに、対アヒ用のアトラクティブなカラーなどで工夫する。これでお隣とは一味違った隠し味で勝負に挑むのだが、これまた悲しいかなレコードフィッシュには出逢えずじまいである。ちなみに、万国共通の対アヒのアトラクティブなカラーとはライトグリーン&イエローの組み合わせのようである。 |
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| さて実践のチャミングゲームだが、まずパヤオ廻りでの魚寄せのポイントは、解凍したキビナゴをひとつかみ、ふたつかみ、お頭付きのまま姿をくずすことなく、ミンチにせず、多過ぎず、少な過ぎず、澱みなくまいておくことである。(このことは、磯釣りなどのコマセを経験した人は理解しやすい。) チャミング後、まもなく漆黒の海面下にイエローフィンの舞い姿が目につくようになる。それから、さらにひとつかみのキビナゴをチャミングしてキャストと相成るわけだが、一連の動作は、パートナー(船頭でもよい)とのコンビネーションで行なうと素早く、スマートに運べることはいうまでもない。 キャスト後に忘れてならないのは、リトリーブを考えず、こだわらないことである。あくまでも、キャスト後は磯のフカセ釣り同様、チャムベイトにストリーマーを溶け込ませるよう、自然なドリフト状態にストリーマーの姿勢を制御することに心を置くべきである。 |
| なお、この時ラインを張ったり、小範囲で小刻みのリトリーブを行なうことがあるが、一番の難題はチャムベイトの漂う水面下において、ストリーマーの漂う層には約2〜5kg(4〜10Lb)の比較的小型魚のアヒが多く、大型魚の潜む層に沈下する前に、ほとんど小型魚のヒットで終わってしまうことにある。 |
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| 今のところ、小型アヒやカツオなどのひったくりをかわすアッパレな解決法を見いだせずにいることが、見事なレコードフィッシュに辿り着けない最大の理由になっているわけだが、ただ手ぐすねを引いて現状に甘んじているわけではない。とりあえずの解決方法として、今期は、穴あきキャンディー(喉薬のトローチなど)が短時間(30秒〜1分)で溶けてしまうように、一辺をサンドペーパーなどで薄く削ってフックに通し、細い綿糸などでウエイトを結びつけ、大型アヒのいる辺りまで素早く沈ませることで途中の小型アヒの猛襲をかわす。などということをアレやコレやと腐心してはいるものの、これまた陽の目を見るのはいつのことやら、というのが現状である。 |
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フライロッドによる僕の場合のツナ・フィッシング…佐伯信行 このところソルトウォーターのフライ・フィッシングは、我が国でも本場アメリカでもかなり盛んになっている。僕もこのブームに乗せられてか、夏のトップシーズンは休みの度にシイラやカツオを求めて相模湾上に出ている。 ツナのフライフィッシングは、ここ数年アメリカで特に注目されていて(なかでもキハダが多い)ソルトウォーターやフライのフィッシングマガジンで度々取り上げられている。僕のところにもスティーブ・レージェフやエーベル・フライリール社のスティーブ・エーベルから、何度もフライ・フィッシングの写真や手紙が送られてきている。10kgクラスまでの場合、彼らはタックルのセッティングさえきちんとしていれば、かなりの確率でランディングできるようだ。スティーブ・レージェフなど40Lbのキハダをランディングしているらしい。 僕はマグロだけを狙って船を出したことはないが、シイラ釣りに出てメジマグロの群れに当たり、2〜3kgクラスをかなり釣り上げたことがあった。例年9月中旬以降の相模湾沖のパヤオ周り、水深20〜30m位にいることが多いメジの群れを僕は狙う。この水深をフライのタックルで狙うことは、まず不可能、手も足も出ない状態なので、なんとか水面近くまで群れを浮かさなくてはならない。 |
| こういった場合、アメリカではチャミング、沖縄の久米島でもキビナゴによるチャミングで魚を浮かしているが、僕らの場合、まず乗船者全員でルアーのメタルジグをフォールさせ、ジギングによって何匹かを釣る。すると、フックアップされて水面まで寄せられた魚に誘われるように、他の魚も水面近くまで浮いてくる。それを繰り返し行なうことによって群れ全体が浮き上がってくる。そこをフライのキャスティングで釣るのだが、キャスト&リトリーブではフライの動きがメジのスピードに対して遅過ぎるため、フライを見破られることが多い。この時、メタルジグなどのルアーでティージングを行ない、そのティーザーに狂ってパニック状態になったところへフライをキャストすれば、メジは一発で喰ってくる。 このティージングは、メジの群れを水面近くに止めるためにもとても重要で、常に2人以上で行なうことが肝心である。何匹かのメジが背びれを出してティーザーを追うところが2〜3kgのサイズなら、とてもエキサイトさせてくれる。メジクラスのマグロならこのメタルジグ+ティージングで釣れるが、10kgオーバーのマグロともなれば、こんな方法では釣れないだろう。 |
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今僕は、久米島の10kgクラスのキハダを、キビナゴのチャミングに寄ってきたところへ超リアルフライを漂わせる方法で狙おうと考えている。喰わせるまでは何とかなるだろう。それから10kgオーバーのものをランディングするためには、IGFAの20Lbクラスの完璧なリーダーシステムと、G・ルーミスの8'6"#13、エーベルの#4、またはビリー・ペイトのターポンクラスで、バッキングが300mは入るドラッグの強力なフライリールが必要だ。8'6"という、やや短いフライロッドは、短いがゆえに他のものよりもかなり強いバットパワーを持たせることができ、ディープから魚を浮かせるのにかなり有利である。 しかし最も必要とされるものは、何時間にも及ぶであろうマグロとのファイトに耐え得る強靱な体力であると思う。そして、久米島釣行を可能とする時間の段取りである。
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| 要は散水次第だったというキハダマグロのF.F.…西山徹 キハダマグロのフライフィッシングというテーマを頂戴したけど、こいつがなかなかの難題なのだ。というのも、ボクはまだキハダマグロと呼べるくらいのヤツを、フライで納得できるほど釣ったことがない。ぜ〜んぜんまるでキャリアが足りない。それでも一応、何度か釣ったことはある。ずいぶん昔のことだけど、やっとキメジと呼ぶ程度のヤツがね。で、しょうがないから、そのキメジが釣れたときの状況から話を進めることにする。 2度とも相模湾で、カツオの1本釣りとフカセ釣りの船に便乗したときのことだった。最初の一尾は、カツオのナブラに突入して、散水を開始した直後、脇からの散水の下を目掛けて2番サイズのサーペントフライをキャストした時にヒットしたものだ。 |
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その日、まず最初は、散水の下にキャストしてからラインストリッピングでリトリーブしてみたが、うまく行かない。ところが一本釣りのカグラ(疑似バリ)には、カツオがガンガン入れ食いなのだ。観察してみると一本釣りの疑似バリは、ほとんど海面でスキップするように引き回している。そこでボクとしては、ショートキャストしてから、ロッドでフライをチョンチョンとスキップするように引いては、ロールキャストを繰り返す、という戦略に切り替えてみた。するとたまたま運の悪いヤツがサーペントフライをひったくるようにヒットし、一挙に60mくらい突っ走ったのだ。カツオだと信じて引き寄せてみると、キロ半くらいのキメジ(キハダの幼魚)だったという訳だ。タックルは8番8ft半のグラスロッドに、WF8Sのタイプ2ラインだった。 2度めは、トリヤマの下のイワシダンゴに下からキメジが突っ込んで来るという状況に遭遇したときのことだ。このときもやはり散水装置のある船で、フカセ釣り、ルアー、ボクだけがフライも持っているという状況だった。そもそもはシイラ狙いでスタートしたのだが、初島沖近くまで来たとき、たまたまイワシダンゴにキメジというパターンに出会い2kgくらいのヤツをやっと1本だけ仕留めることができた。タックルは9ft8番のグラファイトロッド、WF8Fライン、1番サイズのキールストリーマー。このときは最初から、ロールキャストを併用したスキッピングリトリーブで散水の下を狙い、割りと素早くヒットさせることができた。 |
| その後、何度か、各地でキハダマグロと出会う機会はあったが、メタルジグのルアーキャスティングでは仕留めることができるものの、フライでは本当に難しい。ネックとなるのは、やはりフライの射程距離なのだ。カツオもそうだが、移動スピードが極端に早い回游魚になると、よほど巨大なナブラにぶつかるか、散水やチャミングで寄せるかをしないことには、フライフィッシングは成立しにくい。その点では、かつての散水という手段がもっと見直されてもよいのではないか、と思う。射程に入りさえすれば、キハダは、いや正確にはキメジサイズが主体なのだが、この魚は、カツオやクロマグロの幼魚などよりフライをよく追うので、ツナの中ではフライで釣りやすい部類に入るだろうと思う。 |
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